2012 Fiscal Year Annual Research Report
チャンネル代替法のための人工膜貫通キャリアの開発と分析
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11F01760
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
HILL P.Jonathan 独立行政法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, MANA研究者
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WIMGUSTAAF VanRossom (独)物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 外国人特別研究員
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Keywords | アニオン / 合成アニオン輸送分子 / 生体膜 / 結合定数 / 選択性 |
Research Abstract |
生体膜を通しての塩素イオンや炭酸水素イオンの透過の異常は、致死的遺伝病である嚢胞性線維症(cystic fibrosis)の原因となる。これは、cystic fibrosis transmembrane conductance regulator(CFTR)型の塩素イオンチャネルの遺伝子変異によるものである。また、水素イオンと塩素イオンの共輸送の欠損はアポトーシスの引き金にもなる。このように、生体膜を通してのアニオン輸送は様々な病理に関与しており、それを人為的にコントロールするような合成アニオン輸送分子を開発することが急務となっている。この課題に取り組むため、何種類かのtriaryldipyrrole型オリゴマーを、新たに開発された2,5-dialylpyrrole誘導体の合成手法を応用することによって、合成した。Sonogashira反応を含むこの合成ルートにより、重要なキー分子である非対称型の2,5-diarylpyrrole誘導体の合成が容易になされることがわかった。現在、合成されたいくつかのtriaryldipyrrole型オリゴマーへの様々な(生体機能にとって重要な)アニオンの結合挙動をUV/Visスペクトルおよび^1H-NMR法によって検討している。初期的な結果であるが、塩素イオンと炭酸水素イオンの結合挙動に優位な選択性が得られており、今後のバイオ応用および臨床応用への適用がきたいされている。さらに、得られたデータをもとに、構造のデザインの再検討や新しい合成アニオン輸送分子を合成することにより、さらなる結合定数の向上および選択性の改善を図るつもりである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
合成アニオン輸送分子が困難を極めたが、その後のアニオンの選択結合実験が非常にうまくいき、全体として順調な進展が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
化合物の合成開発という困難なステップを乗り切ったため、これからは非常に順調な研究がなされることが期待できる。JSPS期間を終えても新たなポストで研究を継続する容易を積極的に進める必要がある。
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Research Products
(4 results)