2011 Fiscal Year Annual Research Report
環境ストレスに応答して植物の成長を制御する転写因子の単離と解析
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11F01761
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
杉本 慶子 独立行政法人理化学研究所, 細胞機能研究ユニット, ユニットリーダー
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RYMEN Bart 独立行政法人理化学研究所, 細胞機能研究ユニット, 外国人特別研究員
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Keywords | 環境応答 / 転写因子 / 細胞増殖 / 細胞成長 / シロイヌナズナ |
Research Abstract |
植物の成長は光、低温、乾燥といった外的要因によって大きく影響を受ける。最近の研究の発展から植物が様々な環境情報を受容、伝達する分子メカニズムについては理解が進んだが、こうした環境要因の変化によって実際に根や葉などの植物器官の成長が調節されるメカニズムについてはまだよく分かっていない。本研究は植物の環境応答に関与する新規制御因子を単離し、それらの機能を明らかにすることを目的としている。環境情報の受容や伝達、その下流での細胞増殖、伸長、分化の時空間的な制御には、これらの過程の進行に必要な多数の遺伝子の発現を同時に調節しなければならない。このためには、シグナルカスケードのハブとして働く転写因子が多数存在し、上流からの複雑な情報を統合処理し、細胞増殖や成長に関与する標的遺伝子の発現を誘導、もしくは抑制するものと予測される。本研究では、重複性の高い転写因子ファミリーの機能解析に優れたキメラリプレッサー系統(転写抑制領域を付加した機能変換型転写因子を過剰発現した形質転換体)を用いた変異体スクリーニングを行い、植物個体内で細胞の増殖、成長を時空間的に制御する新規転写因子を単離する。本年度は乾燥ストレス下で器官成長を制御する分子機構に焦点をあてて、解析を進めた。具体的にはまず簡便に植物の乾燥ストレス応答を誘導できるマニトール添加培地を用いた実験系を立ちあげた。次にこの生育条件下でシロイヌナズナのキメラリプレッサー系統を用いた変異体スクリーニングを行い、野生型に較べて成長異常を示す変異体系統の選抜を試みた。これまでに200遺伝子分に相当する形質転換体を検討し、数個の遺伝子について再現性のある成長異常を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験系のセットアップを十分検討したため、スクリーニングは順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きマニトールを用いたスクニーニングを継続し、出来るだけ多くの変異体を獲得する予定である。また候補系統については原因遺伝子の同定を順次進め、機能解析を開始したい。転写因子の解析については研究室内にノウハウが十分蓄積しており、特に問題点は想定されない。
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