2012 Fiscal Year Annual Research Report
ジアゾカルボニル化合成物等を用いる合成反応に適用可能な新規触媒の開発
Project/Area Number |
11F01768
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 修 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HONEY Mark 東京大学, 大学院・理学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 触媒 / 有機超塩基 / ジアゾカルボニル / 不斉合成 / 分子骨格形成 |
Research Abstract |
有機合成化学において、新規触媒の開発はより効率的な分子骨格構築反応を行う上で極めて重要な研究課題である。本研究では、キラル有機超強塩基触媒を用いるジアゾカルボニル化合物等の立体選択的反応の開発を目指して検討を行っている。キラル有機超強塩基触媒はその強塩基性を特徴とする有望な触媒種であるが、触媒的不斉合成への適用はあまり検討がなされていない。また、ジアゾカルボニル化合物は様々な反応に使用されている反応基質であり、塩基存在下各種求電子剤に付加反応することが知られている。本年度は、先年度に引き続き、新規キラル有機超強塩基触媒の設計・合成、およびその機能評価の検討を行った。昨年度に開発を行った新規キラルボスファゼン触媒を用いて、予備検討であるスルホニルイミデートとイミンとのMannich型反応の検討を行い、有意な不斉の発現を確認すること炉できた。しかしながら、新規キラルポスファゼン触媒の不安定性のためか反応の結果が安定せず、結果の再現性に問題があることが判明した。そこで、この問題を克服すべく現在検討を継続している。 一方で本研究の遂行途中に、有機超強塩基を触媒として用いる他の分子骨格構築反応を行ったところ興味深い結果が得られた。イソニトリルとアルデヒドやイミンとの反応は、オキサゾリン環やイミダゾリン環を効率的に構築する有用な反応である。従来この反応には、反応点に電子求引基を有する活性なイソニトリルが基質として用いられていたが、反応点に電子求引基を有さない不活性なイソニトリルを用いた反応例はまれであった。そこで、有機超強塩基を用いて不活性なイソニトリルを用いる反応を行ったところ、目的の反応が効率的に進行することを見いだした。今後、本反応も並行して検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規光学活性ボスファゼンを合成することができ、有意な不斉発現を伴って触媒反応へ適用できることを明らかにした。また、有機超強塩基を用いる新たな反応を見い出すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、新規光学活性ホスファゼン、ホスファトラン触媒を合成し、予備検討であるイミンとスルポニルイミデートとの反応、さらにジアゾカルボニル化合物等との反応に適用する。また一方で、イソニトリルを用いる反応においても収率および選択性の向上を目指す検討を行う。
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