2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11F01770
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村尾 美緒 東京大学, 大学院・理学系研究科, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MICHAL Hajdusek 東京大学, 大学院・理学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 量子計算 / エンタングルメント / 測定ベース量子計算 / グラフ状態 / グラフ理論 / エンタングルメント測度 |
Research Abstract |
本研究は、量子情報科学において測定ベースの量子計算の資源として用いられる実用性の高いエンタングル状態であるグラフ状態、および、weightedグラフ状態のエンタングルメントの性質を解明することである。多体エンタングルメントの定量化は量子情報科学において基礎的な課題の一つであるが、非常に計算量的に困難な問題であることが知られている。そこで今年度は、グラフ理論を用いた多体エンタングルメント測度の定式化に関する研究を行った。 グラフ状態に対しては、対応するグラフの局所クリフォード同値類をとった場合の最小の最大独立集合のサイズによって、グラフ状態が特徴付けられることを示した。この特徴付けによって、与えられたグラフ状態に最も「近い」セパラブル状態を従来の方法に比べて効率良く探索することが可能となり、ある特徴を持つグラフにおいては、効率的に多体距離的エンタングルメント測度が評価できることを示した。また、従来知られていなかった、異なるエンタングルメント測度間の関係を見出した。これらの結果により、ある種の雑音がグラフ状態のエンタングルメントに与える影響に関する知見を得ることができた。 グラフ状態を更に一般化したweightedグラフ状態は、強結合スピンハミルトニアンやスピンガスなどの乱雑なスピンシステムの基底状態を近似するためにも用いられる。グラフ状態に関するある種の雑音がグラフ状態のエンタングルメントに与える影響に関する知見の定式化は、最近接セパラブル状態を異なる記述法で表すことで、weightedグラフ状態へも応用可能であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
グラフ理論を用いた多体距離的エンタングルメント測度の新しい評価方法を確立することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
測定ベース量子計算の発展形として、測定ベース量子計算と断熱量子計算を組み合わせた新しい量子計算モデルである、断熱クラスター状態量子計算におけるエンタングルメント資源の解析を行う。この計算モデルは測定ベース量子計算と似ているが、測定の代わりにハミルトニアンを局所的にゆっくりと変化させることにより基底状態を変化させて計算を実行するものである。特に断熱定理による基底状態の変化を考察し、断熱クラスター状態量子計算とエンタングルメントとの関連を明らかにする。
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Research Products
(6 results)