2012 Fiscal Year Annual Research Report
改革の再構想:新しい安全保障問題に立ち向かう新たな方法
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11F01771
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武内 和彦 東京大学, サステナビリティ学連携研究機構, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TRUDY Fraser 東京大学, サステナビリティ学連携研究機構, 外国人特別研究員
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Keywords | 国際の安全 / 国際機関 / 国際法 / 人間の安全保障 |
Research Abstract |
本研究の初期段階では、国連が国家主権構造による固有の限界によって効果的に対処できなかった、人間の安全保障問題の出現に対する国連システムの有効性について検証する。平成24年4月より「The UN Today:Human Security in a World of States」という題目でイギリスPalgrave Macmillan出版社より出版予定の書籍を執筆しており、現在編集作業とインデックス作成の最終段階である。 また、この課題から派生したその他2つの研究プロジェクトにも取り組んでいる。国連大学シニア・アカデミック・オフィサーのVesselin Popovskiと共同で取り組んでいる「グローバルな立法者としての安全保障委員会」と題したプロジェクトは、安全保障委員会の"立法的"決議の知識基盤の構築と、安全保障委員会の立法的活動が国連加盟国と国際平和と安全に与える影響について評価することを目的としている。平成24年夏には、ニューヨーク市立大学ラルフ・バンチ国際研究所の所長であるThomas Weiss氏が開催した専門家諮問委員会に参加し、平成25年3月にはセント・アンドルーズ大学のグローバル立憲政治研究所の所長であるAnthonyLang氏による「著者のワークショップ(Authors'Workshop)」に参加した。「著者のワークショップ」から選定された論文は単著の論文として発表され、論文の最終編集巻は国連大学出版局から平成25年後半に出版される予定である。 H.Colleen Stuart氏と共同で行っている「国連人権理事会における近接性が生み出す影響と政治的関係の結果」と題したプロジェクトでは、国連人権理事会における席順が加盟国の投票パターンに影響を与えているかどうかについて検証することにより、空間的近接性の効用を調査することを目的としている。平成17年から24年にかけての人権理事会での投票パターンをコード化し、今年の夏に開催予定の政治ネットワーク・カンファレンスにて成果を発表する予定である。その後、査読付き学術雑誌に掲載する予定である。 暫定的に「持続可能性と人間の安全保障における新たな見解」と題した新たなプロジェクトでは、人間の安全保障の脆弱性への対応がその場限りで持続不可能であると位置づけている。該当研究では多様なステークホルダーによって提案された持続可能な解決策のフレームワークにある様々な人間の安全保障の課題を分析し、その解決方法を人間の安全保障管理のための更に大きなフレームワークに発展させる可能性について分析する。当該テーマの書籍の提案書を国連大学出版部に提出しており、これらのテーマについて発展させるための「著者のワークショップ」を開催する予定である。また、その他の活動として、埼玉大学にて講義を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の初期研究調査領域を広げることで、現在、研究成果を査読付論文として出版できる可能性がある4つのプロジェクトに積極的に関与している。このことからも、外国人特別研究員採用期間中に質の高い論文を出版することができ、大変実り多い研究に従事することができたと評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
単著の出版時期に合わせて、平成25年夏に国連において人間の安全保障をテーマにした国連大学を拠点としたワークショップを開催する予定である。また、プロジェクトリーダーとしてVesselin Popovskiと共同で取り組んでいる「グローバルな立法者としての安全保障委員会」のプロジェクトに従事し、成果を論文で発表する予定である。 更に、米国で今夏に予定されている政治ネットワーク・カンファレンスにて「国連人権理事会における近接性が生み出す影響と政治的関係の結果」に関する論文のドラフトを発表する予定である。また、新たなプロジェクトである「持続可能性と人間の安全保障における新たな見解」についても現地調査を遂行する予定である。
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Research Products
(1 results)