2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11F01781
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山脇 幸一 名古屋大学, 素粒子宇宙起源研究機構, 特任教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JIA Junji 名古屋大学, 素粒子宇宙起源研究機構, 外国人特別研究員
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Keywords | 電弱対称性の力学的破れ / 複合ヒッグス / LHC / ウォーキングテクニカラー / テクニパイオン / 質量の起源 / テクニディラトン / コンフォーマル対称性 |
Research Abstract |
対称性の力学的破れの研究はLHC実験の進展とともに大きく発展しつつある。Jiaは着任時から山脇および松崎真也とともにウォーキングテクニカラーにおけるカイラル対称性の擬南部ゴールドストン粒子(テクニパイオン)の研究を続けてきた。 ウォーキングテクニカラーは1986年に山脇・坂東・松本によって提唱され現在世界的に研究されている複合ヒッグスボソン模型であり、模型に特有の近似的スケール対称性(コンフォーマル対称性)の破れに伴う擬南部ゴールドストン粒子であるテクニディラトンが複合ヒッグス粒子として予言された。これは標準模型のヒッグス粒子と異なる振る舞いをするため、目下進展中のLHC実験でその検証が期待される。 最近、松崎-山脇は、典型的なウォーキングテクニカラーで予測される600GeV付近でのテクニディラトンが、LHC実験においては標準模型のヒッグス粒子と比べてとくに2光子崩壊のモードのみに大きなシグナルが現れることを予言した。またLHCでヒッグスの兆候として話題になった125GeV付近のシグナルも2光子モードのみが大きいことから、テクニディラトンの可能性があることを指摘した。 Jiaと松崎、山脇はこの解析をさらに進め、従来系統的に調べられていなかったテクニパイオンの質量、相互作用をはじめて系統的に調べ、これがLHC実験でのテクニディラトン崩壊モードにどう影響するかを詳細に研究した。これはとくにLHCの600GeV付近のテクニディラトン探索に重要である。計算はほぼ完了しており、近々論文発表の予定である。 これとは別に、Jiaはミランスキー教授のグループとの2層グラフィンに関する従来からの共同研究を続けており、最近実験で発見された新しい相の理論的解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
基本的な計算は完了しているが、Jiaがミランスキー教授との従来の共同研究に集中していたため電弱対称性の力学的破れの研究は多少停滞気味である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在ほぼ完了しているテクニパイオンについての論文の仕上げを目指す。 今年中にはLHCの新しい実験結果が期待されるので、それにあわせたより詳細な現象論的研究を展開する。 一般的なウォーキングテクニカラーの課題としてトップクォークの質量生成の機構を検討する。ゲージ化された南部・ヨナラシーニョ模型ではウォーキングテクニカラーよりもさらに大きな異常次元をもつ力学がミランスキー・山脇(1989年)によって発見されておりこれを用いた解析を試みる。
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