2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11F01787
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
江口 徹 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PRUDENZIATI Andrea 京都大学, 基礎物理学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 位相的弦理論 / ホロモルフィック・アノマリー方程式 / 4次元ゲージ理論 / 2次元位相的重力 |
Research Abstract |
位相的弦理論は超弦理論の幾何学的側面を抽出した理論であり、超弦理論の複雑さを回避しつつその幾何学的な内容を再構成する力を持つ。 閉じた位相的な弦理論は、Bershadsky,Cecotti,Ooguri,Vafa(BCOV)による量子論的な小平-スペンサー理論として構成されており、一方開いた位相的な弦理論はWittenにより正則Chern-Simons理論として定式化されている. これらの理論は現在Bモデルとして定式化されているが、そのAモデル・バージョンを構成するのがひとつの重要な課題である。このためにはA,Bモデルを統一的に記述する可能性を持つgeneralized complex manifoldの手法が有効と考えられる。特にopen-closed dualityの解析が有効なGopakumar-Vafaの幾何学的転移を詳しく調べたい。 超弦理論のbackground independenceの問題は極めて難しい問題であるが、現在これを議論する唯一の可能性を持つものはBCOVのホロモルフィック・アノマリー方程式である。これはいままでclosed stringの場合にしか展開されていないが、これをopenstringの自由度も加えてopen-closedの系に拡張して議論する。そのためにもgeneralized complex manifoldの方法を用いてホロモルフィック・アノマリー方程式を書き直して詳しく解析することが必要である。 位相的弦理論は物理的に重要な問題に関して通常の弦理論よりはるかに見通しのよい簡明な解法を与える可能性を秘めている。AdS/CFT対応などopen-closedの双対性のもっとも重要な現象の基礎づけを位相的弦理論を用いて与えたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Nekrasovによるオメガ背景場はよく知られている。4次元ユークリッド空間を1,2平面についてパラメータepsilonのローレンツ変換を行い3,4平面についてepsilon'のローレンツ変換を行う。epsilon=-epsilon'であれば背景場は超対称性を持つが、epsilonとepsilon'に特定の関係がなければ超対称性は失われる。これが一般のオメガ背景場である。最近の著しい進展はオメガ背景場中の4次元超対称性ゲージ理論が2次元のリュービル理論に正確な対応関係がつくことである(AGT予想)。Prudenziatiは任意のepsion,epsilon'をepsilon-epsilon',epsilon+epsilon'と考えてそれぞれ位相的、反位相的弦理論と同定することを試みている。
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Strategy for Future Research Activity |
このような同定が正しいかどうかまだはっきりした証拠はないが、オメガ背景場の理論をtopological理論とanit-toplogical理論の融合(fusion)と捉える面白い試みである。オメガ背景場は最近多くの研究が行われている局所化(localization)の方法が適用できる典型的な例であり、局所化の方法が適用できる場合にどういう機構が背後で働いているのか多くの研究者に興味が持たれている。Prudenziatiの研究はこうした重要な課題に貢献する可能性を秘めている。
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