2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11F01802
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
竹内 努 名古屋大学, 理学研究科, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MALEK Katarzyna 名古屋大学, 外国人特別研究員
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Keywords | 理論天文学 / 光赤外天文学 / 銀河形成進化 / 星形成 / 輻射輸送 |
Research Abstract |
銀河形成進化の研究において、単位時間当たりに形成される星の質量、いわゆる星形成率はもっとも基本的な物理量として精力的に研究されている。星形成率の観測的測定において、長年にわたって検証されてきたにも関わらず難しい問題として残っているのが、星間塵(ダスト)によって隠された星形成活動の正確な評価である。先行研究において、宇宙年齢が現在の1/3から半分の頃まで(100億年前から70億年前)の銀河の星形成はその9割以上がダストに隠されていたことが分かってきている。ダストに隠された星形成活動によって生成されたエネルギーはダスト粒子に吸収され、強烈な遠赤外線として放射されるため、ダストを多く持つ星形成銀河は赤外線銀河として観測される。このため、爆発的な星形成をしている銀河(スターバースト銀河)は多くが大光度赤外線銀河となっている。しかし、現在の宇宙に存在する大光度赤外銀河と銀河進化初期のそれとは様々な性質が異なっており、その進化の軌跡は解明されていない。本研究では、日本の赤外線天文衛星AKARIによって観測された深探査領域のデータを中心に紫外線や可視光、近赤外線などの観測を加え、様々な宇宙年齢における赤外線銀河の物理的性質(星形成率、ダスト量、金属量、活動銀河核の有無)を検証し、宇宙の星形成の大半を占めるダストに隠れた星形成銀河の進化の統一的描像を構築する。このために、観測データのみならず赤外線銀河のスペクトルエネルギー分布のモデルも活用する。また赤外銀河の環境も検証し、宇宙の構造形成進化における赤外銀河の出現の原因を宇宙論的観点から解明することを目標とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度の目標としていた観測データとの比較、およびダストの散乱理論と星間物質の多相モデルの導入という3つの柱を全て実行できたこと、学会等での発表、論文投稿までこぎつけていることから、十分順調に進展しているといえる。その他の関連研究も進んだことから、当初の計画よりも進展が速いと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度よりSKA Japanサイエンスワーキンググループの総括となったこともあり、中性水素を通じた力学的側面からの研究が当初よりも能率的に進められる可能性が出てきた。このため24年度の進捗状況によっては銀河のスケーリング則の検証を早めに進めるかもしれない。 理論モデルの構築、観測とも順調に進捗すると思われる。
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Research Products
(15 results)