2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11F01802
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
竹内 努 名古屋大学, 理学研究科, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MALEK Katarzyna 名古屋大学, 理学研究科, JSPS外国人特別研究員
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Keywords | 理論天文学 / 光赤外天文学 / 銀河形成進化 / 星形成 / 輻射輸送 |
Research Abstract |
銀河形成進化の研究において、単位時間当たりに形成される星の質量、いわゆる星形成率はもっとも基本的な物理量として精力的に研究されている。星形成率の観測的測定において、長年にわたって検証されてきたにも関わらず難しい問題として残っているのが、星間塵(ダスト)によって隠された星形成活動の正確な評価である。先行研究において、宇宙年齢が現在の1/3から半分の頃まで(100億年前から70億年前)の銀河の星形成はその9割以上がダストに隠されていたことが分かってきている。ダストに隠された星形成活動によって生成されたエネルギーはダスト粒子に吸収され、強烈な遠赤外線として放射されるため、ダストを多く持つ星形成銀河は赤外線銀河として観測される。このため、爆発的な星形成をしている銀河(スターバースト銀河)は多くが大光度赤外線銀河となっている。しかし、現在の宇宙に存在する大光度赤外銀河と銀河進化初期のそれとは様々な性質が異なっており、その進化の軌跡は解明されていない。本研究では、日本の赤外線天文衛星AKARIによって観測された深探査領域のデータを中心に紫外線や可視光、近赤外線などの観測を加え、様々な宇宙年齢における赤外線銀河の物理的性質(星形成率、ダスト量、金属量、活動銀河核の有無)を検証し、宇宙の星形成の大半を占めるダストに隠れた星形成銀河の進化の統一的描像を構築する。H24年度はAKARI南天深探査領域(ADF-S),AKARI北黄極領域深探査(NEP)のデータを解析し、スペクトルエネルギー分布から赤外銀河の星形成史および化学進化を明らかにした。この成果は論文として投稿済みである。また赤外線銀河のSVM(サポートベクターマシーン)による分類法を確立し、可視光深探査VIPERSのデータに応用した研究を進め、論文を投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
この研究によって新しく開発したSVMによる赤外線天体分類法は、可視光の分光サーベイにも適用できることが分かり、VIPERSのデータに適用した新研究も進んでいる。この成果は論文として既に投稿した。また単なる分類アルゴリズムの域を超えて低高度活動銀河核の物理を探る手段としても発展している。これは、本研究の目的である赤外銀河のエネルギー源探求につながる進展であり、予想よりも大きな成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
観測データ解析、統計解析、モデル構築全てバランスよく進捗している。AKARI,Herschel,VIPERSなどのデータも続々公開されており、現在の方針で当初計画に沿って順調に進展すると考えている。
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