2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11F01802
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
竹内 努 名古屋大学, 理学研究科素粒子宇宙物理学専攻, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MALEK Katarzyna 名古屋大学, 理学研究科素粒子宇宙物理学専攻, JSPS外国人特別研究員
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Keywords | 理論天文学 / 光赤外天文学 / 銀河形成進化 / 星形成 / 輻射輸送 |
Research Abstract |
銀河形成進化の研究において、単位時間当たりに形成される星の質量、いわゆる星形成率はもっとも基本的な物理量として精力的に研究されている。星形成率の観測的測定において、長年にわたって検証されてきたにも関わらず難しい問題として残っているのが、星間塵(ダスト)によって隠された星形成活動の正確な評価である。先行研究において、宇宙年齢が現在の1/3から半分の頃まで(100億年前から70億年前)の銀河の星形成はその9割以上がダストに隠されていたことが分かってきている。ダストに隠された星形成活動によって生成されたエネルギーはダスト粒子に吸収され、強烈な遠赤外線として放射されるため、ダストを多く持つ星形成銀河は赤外線銀河として観測される。このため、爆発的な星形成をしている銀河(スターバースト銀河)は多くが大光度赤外線銀河となっている。しかし、現在の宇宙に存在する大光度赤外銀河と銀河進化初期のそれとは様々な性質が異なっており、その進化の軌跡は解明されていない。本研究では、日本の赤外線天文衛星AKARIによって観測された深探査領域のデータを中心に紫外線や可視光、近赤外線などの観測を加え、様々な宇宙年齢における赤外線銀河の物理的性質(星形成率、ダスト量、金属量、活動銀河核の有無)を検証し、宇宙の星形成の大半を占めるダストに隠れた星形成銀河の進化の統一的描像を構築する。H25年度は前年度に引き続きAKARI南天深探査領域(ADF-S), AKARI北黄極領域深探査(NEP)のデータにより詳細な解析を行い、AGNとの自動分類を用いて赤外線銀河のエネルギー源が活発な星形成に起因することを確かめた。銀河のSVM(サポートベクターマシーン)による分類法を用い、可視光深探査VIPERSのデータに応用した。これらの結果はべて論文として公表済みである
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
SVMによる銀河の様々な物理的性質(活動銀河核の有無、星形成の性質など)の分類は多くの銀河探査データに適用され、特にVIPERSプロジェクトにおいて飛躍的な発展をみせた。これは出版論文に反映されている。その汎用性の高さは当初予想だにしていなかったレベルであり、計画以上の進展といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
観測データ解析、統計解析、モデル構築全てバランスよく進捗している。今後は赤外銀河に限らず他の種類の星形成銀河、あるいは星形成を停止した銀河へのSVMの応用へと発展させる。また、銀河を構成する星を分類し、化学進化の様子を探る応用の可能性を探っている。
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Research Products
(14 results)