2011 Fiscal Year Annual Research Report
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11F01805
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西成 活裕 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZAWIDZKI MaciejDaniel 東京大学, 先端科学技術研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | セルオートマトン / トラス構造 / シミュレーション / 歩行者 / 建築 / 渋滞学 / 交通流 / 高齢化社会 |
Research Abstract |
都市における群集の流れのマネジメントは、安全上極めて重量な問題であり、さらに高齢者や障害者のモビリティ確保のためにはこれまでに無い新たな取り組みが必要である。例えば高齢者は歩行速度が遅く、かつ外部刺激に対する反応も遅いため、群集の中では衝突・転倒する危険性が高い。そして段差があれば、移動の大きな障害になる。そのため本研究では、高齢者を支援するようなサインや空間レイアウトについて、新たにセルオートマトンを利用して提案することが目的である。セルオートマトンは複雑な系を単純なルールで表現できるため、動的で複雑な制約環境下でモビリティを扱うのに都合がよいと考えられる。 本年度はその基礎的研究として、公共施設での構造物に関して、セルオートマトンの考え方を応用したトラスZ構造について、その強度や用途について高齢者モビリティという観点から検討をした。トラス構造の配置を組み合わせて、段差なしの通路を作ることができ、この構造配置の効率性については、ヒューリスティックスを用いたシミュレーションで議論し、論文として発表した。また、そしてケーススタディとして、学内キャンパス間をつなぐ橋にこの構造物を応用する検討を行い、具体的な1:100のスケールで模型を作製した。従来の橋は段差が急であり、障害者や高齢者には厳しいものだった。その労力を低減するためのスロープ付きの橋を提案し、さらにトラスZのモジュールの組み合わせ最適化を現在研究中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
セルオートマトンを利用した高齢者モビリティの設計は、渋滞学の重要なテーマの一つであり、本研究ではトラスZのモジュール構造がその目的のために有用であることが示唆された。本年度はまずケーススタディをする予定であったが、それがある程度完了して具体的な模型も完成した。さらにビルの日よけシステムに関してもセルオートマンを活用するアイディアで論文をまとめることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
トラスZの組み合わせ構造による建築物について、モビリティ応用の観点からさらに検討していく。時に、段差なしのスロープ角度に関する議論をきちんと行い、車いすでも安全に移動できるように検討を加える。さらに強度の面からも考慮し、新しいセルオートマトン的な手法による渋滞学的な建築設計を目指していく。
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