2012 Fiscal Year Annual Research Report
自然免疫システムと骨恒常性の関連解析による新規自己免疫疾患治療アプローチの開発
Project/Area Number |
11J00081
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
丸山 健太 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 骨代謝 / 自然免疫 / 炎症性サイトカイン / 破骨細胞 / 骨芽細胞 / 細胞融合 / IL-17 / 転写因子 |
Research Abstract |
申請者のこれまでの報告により(Maruyama et al.J.lmmunol,Maruyama et al.Infect.Immun,Maruyama et al.J.Bone Miner.Metab.)骨と自然免疫系との間には密接な関係があることが明らかとなってきた。現代骨代謝学における最大の発見は破骨細胞分化誘導因子RANKLの同定であり、骨破壊抑制を目的とした抗RANKL抗体の使用が本邦でも開始された。しかし、既に重症感染や低Ca血症による複数の死亡例が報告され、その安全性に疑問符がつきつつある。その為、RANKLよりマイルドな作用点を持ち免疫系に影響を与えない新規骨粗鬆症治療標的の同定や炎症と骨破壊を同時に制御する新規関節リウマチ治療標的の同定などが切望されており、「骨自然免疫系」制御機構の解明はこうした課題の解決に一助を与える可能性がある。申請者はTLRシグナルの負の制御因子であるTANKがRANKL刺激によって誘導され、TRAF6のユビキチン化抑制を介した破骨細胞分化の負の制御を担っていること、さらには骨芽細胞での1L-11発現抑制を介して骨形成を阻害していることを明らかにした(Maruyama et al.J.Biol.Chem,2012)。加えて、転写因子Jdp2が破骨細胞特異的遺伝子の発現誘導に必須であり、Jdp2欠損マウスは著明な大理石骨病を発症すること、またこの転写因子が好中球の正常分化に必須の遺伝子発現も制御し、未成熟で機能障害を呈する好中球が原因でJdp2欠損マウスは細菌感染に対し脆弱である事を発見した(Maruyama et al.Immunity,2012)。さらに、IL-10によって誘導されNF-kBを抑制する因子と考えられている転写調節因子Xが破骨細胞の融合を調節していることを明らかにした(Maruyama et al.under revision)。現在は、IL-17依存的に骨芽細胞から分泌され破骨細胞の融合と炎症性サイトカイン産生を阻害する因子Yの同定に成功し、これを自己免疫性骨破壊の治療に応用すべく検討をすすめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
「骨自然免疫系」制御因子の同定をノックアウトマウススクリーニングの手法で行った結果、複数の候補分子を同定し、JBC、Immunity等の国際誌上での成果発表を3年間で実現させることができた(他、共著論文1報)。現在「骨自然免疫系」にフェノタイプを有するノックアウトマウス3系統を維持しながらそのメカニズム解明を行っており、そのうち1系統に関する仕事については査読付国際誌に投稿中である。さらに、本研究申請の目的である自己免疫性骨破壊疾患の治療アプローチを開発するべく骨芽細胞よりIL-17依存的に分泌される因子のスクリーニングを行い、破骨細胞の融合を強力に抑制する分子の同定に成功した。現在これを治療応用に結び付けるべく、動物レベルでの検討を計画している。以上より、当初の研究目的は順調に達成されつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、今回同定した破骨細胞の融合を阻害する液性因子Yを用いた自己免疫性骨破壊モデルに対する治療効果の検討を中心に研究を進めてゆく。大量のリコンビナントタンパク質の調整や、疾患動物モデルの構築には多大な費用がかかるため、積極的に外部資金の獲得を行い、所属研究室内での円滑な実験体制を整える。
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[Journal Article] The transcription factor Jun dimerization protein 2 controls bone homeostasis and antibacterial immunity by regulating osteoclast and neutrophil differentiation2012
Author(s)
kenta Maruyama, Masahiro Fukasaka, Alexis Vandenbon, Tatsuya Saitoh, Takumi Kawasaki, Takeshi Kondo, Kazunari K. Yokoyama, Hiroyasu Kidoya, Nobuyuki Takakura, Daron Standley, Osamu Takeuchi, and Shizuo Akira
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Journal Title
Immunity
Volume: 37
Pages: 1024-1036
DOI
Peer Reviewed
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