2011 Fiscal Year Annual Research Report
FeおよびRuを中心金属に用いた高活性・高選択的なヒドロホルミル化触媒の探索
Project/Area Number |
11J00113
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 講平 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アルデヒド合成 / ヒドロホルミル化 / ルテニウム / 鉄 |
Research Abstract |
ヒドロホルミル化によるアルケンからのアルデヒド合成とそれに続く水素化によるアルコール合成は世界中で年間数千万トン規模で行われている。工業的にはnormal体のアルデヒドの需要が高く、Rhを用いたnormal体を選択的に与える触媒が用いられている。しかし、Rhは非常に高価な稀少金属であり、Rh以外の金属を用いた触媒の開発が望まれている。本研究では、Rhに比べて比較的安価で豊富であるRuあるいはFeを中心金属に用いた直鎖選択的ヒドロホルミル化触媒の開発を目指す。既にRuを用いた触媒においてある程度のnormal選択性を見出しており、これをさらに発展させることを目指す。また、RuとFeは同族の元素であるので、Ruを用いた触媒が完成したら、同様の触媒デザインによってFeを中心金属に用いた高性能な触媒が開発できるのではないかと考え、これを検討する。 23年度の研究計画においてはシクロペンタジエニル配位子を有するRu錯体とリン配位子を用いた触媒系において、リン配位子を種々検討することで収率の向上を図ることを目標としていた。この目的は達成され、Ru触媒としては最高水準の活性と選択性を両立した触媒を開発することに成功した。また、今回開発した触媒はこれまでのヒドロホルミル化触媒と異なるデザインのものであったので、反応機構に関する検討も行った。これらをまとめて学術誌Angewandte Chemie International Editionに投稿し、掲載された。また、後述するように、学会発表も何度か行っている。 Ruを用いた触媒の開発に成功したので、同様のデザインによりFeを用いた触媒を設計し、検討した。しかし、Ruの場合とは異なり、良好な結果は得られなかった。そこで、Ruの場合とは異なるデザインの触媒設計に着手し、各種検討を行った結果、ある程度の触媒活性と選択性を達成した。検討はまだ初期段階であるので、更なる検討により触媒活性の向上が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた反応収率の向上だけでなく、メカニズムの解明に関する研究もできた。また、Feを用いた触媒の開発にもある程度着手できた。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、Feを中心金属に用いた触媒で活性・選択性の向上を目指す。高い活性と選択性が達成できたら、その触媒デザインの何が効果的であったのかを解明する。
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Research Products
(4 results)