2012 Fiscal Year Annual Research Report
FeおよびRuを中心金属に用いた高活性・高選択的なヒドロホルミル化触媒の探索
Project/Area Number |
11J00113
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 講平 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | ヒドロホルミル化 / 水素化 / ルテニウム / 鉄 |
Research Abstract |
ヒドロホルミル化によるアルケンからのアルデヒド合成とそれに続く水素化によるアルコール合成は世界中で年間数千万トン規模で行われている。工業的にはnormal体のアルデヒドの需要が高く、Rhを用いたnomal体を選択的に与える触媒が用いられている。しかし、Rhは非常に高価な稀少金属であり、Rh以外の金属を用いた触媒の開発が望まれている。本研究では、Rhに比べて比較的安価で豊富であるRuあるいはFeを中心金属に用いた直鎖選択的ヒドロホルミル化触媒の開発を目指す。既にRuを用いた触媒においてある程度のnormal選択性を見出しており、これをさらに発展させることを目指す。また、RuとFeは同族の元素であるので、Ruを用いた触媒が完成したら、同様の触媒デザインによってFeを中心金属に用いた高性能な触媒が開発できるのではないかと考え、これを検討する。 23年度はRuを用いた高選択的な触媒の開発に成功し、報告できたので、24年度はFeを用いた触媒の開発に着手した。しかし、Ruと類似のデザインのFe触媒では反応は全く進行せず、検討を一時中断した。そこで、当初の研究計画にあった、Ruを用いた触媒をさらに発展させる研究を展開することにした。23年度に報告した触媒を起点として更なる改良を施すことで、上で述べたアルケンからの直鎖アルコール合成を一段階で進行させるRu触媒を開発した。この結果は、Journal of American Chemical Societyに報告した。反応の速度はRhを用いた触媒に劣るものの、選択性は同様の値を示した。また、その選択性はこれまでに報告されたRu触媒と比較して高いレベルであった。このRu触媒の活性をさらに向上させるべく、同様の構造を持ち、電子的、立体的な特徴を変化させた触媒を合成・検討したが明らかな活性向上は見られなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Feを用いた触媒の開発は上手くいかなかった。しかし、Ruを用いた触媒をさらに発展させ、論文として報告することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまではFeを用いた触媒の開発を同族元素であるRuに有効であったものを基準にして行っていたが、今後は異なるデザインでアプローチする。具体的には、50年程前に非常に低活性ながらもヒドロホルミル化の活性がある事が報告されているFe(CO)_5を起点とし、これに対して近年開発された配位子を添加することで反応を試みる。特に、金属上の電子密度をあまり上昇させずかつ立体的にかさ高い配位子を用いる事で反応速度・選択性の両方の向上を目指す。
|
Research Products
(4 results)