精巣捻転後の造精機能障害におけるROSの抑制を応用した新規治療法の開発

2011 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 11J00118
• Research Institution: Tottori University
• Principal Investigator: 清水 翔吾 鳥取大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
• Keywords: 虚血再灌流傷害 / ポストコンディショニング / ATP感受性カリウムチャネル / ミトコンドリア / 酸化ストレス / 精巣捻転症

Research Abstract

精巣捻転症では精索血管の捻転と解除により、虚血再灌流(ischemia reperfusion ; IR)傷害が発生することが知られている。我々は以前、精巣IR傷害に対して、再灌流初期に短期間の虚血と再灌流を繰り返すことで細胞傷害の進行を遅延させる虚血性ポストコンディショニング(ischemic postconditioning ; IPostC)の効果について報告した。そこで、IPostCがIR傷害による酸化傷害を抑制するメカニズムとして、ミトコンドリア選択的ATP感受性カリウム(mitoK_<ATP>)チャネルに着目した。8週齢雄性SDラットを用いて、ペントバルビタール腹腔内投与により麻酔下で開腹し、右精巣動静脈をクランプすることで精巣虚血を誘発した。
虚血状態誘発120分後に解除して、再灌流24時間を行い、IRモデルとした。このIRモデルに対して、再灌流、虚血を30秒ずつ3回繰り返したIPostC3×30s群、薬物投与群としてmitoK_<ATP>チャネル阻害薬である5-HD(40mg/kg)をIPostC3×30s(IPostC3×30s+post5-HD)の再灌流45分前に腹腔内投与した。
IR群ではコントロール群と比較して酸化傷害のマーカーである精巣MDA濃度の有意な上昇、精細管内で重度の空胞化、精母細胞の脱落、アポトーシスを検出するTUNEL陽性細胞の増加が見られた。一方、IPostC群はIR群と比較して精巣MDA濃度の有意な減少及び組織傷害がコントロール群レベルまで改善されていた。IPostC3×30s+post5-HD群では、IPostC群に比べ精巣MDAの有意な上昇、組織傷害、TUNEL陽性細胞数の増加傾向が見られた。精巣捻転症モデルに対してIPostCは保護効果を示すことが確認された。mitoKATpチャネルの開口は精巣IPostCの保護に関わる因子である可能性が示唆された。

Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

ミトコンドリアATP感受性Kチャネルの開口が精巣での虚血性ポストコンディショニングの保護効果に関与するとい実験結果を得た。精巣での虚血性ポストコンディショニングの分子機構を解明するものであり、薬剤によりポストコンディショニングを誘導し、虚血再灌流傷害を抑制する新しい展開が期待できる。

Strategy for Future Research Activity

報告した計画書通りに、実験計画が遂行できた。今後も計画書通りに実験計画を遂行する。

Research Products

• [Journal Article] Nicorandil ameliorates ischaemia-reperfusion injury in the rat kidney (2011)
  • Author(s): Shimizu, S, Saito, M,Kinoshita, Y, Ohmasa E, Dimitriadis F, Shomori, K, Havashi, A, Satoh K.
  • Journal Title: British Journal of Pharmacology Volume: 163 Pages: 272-282
  • Peer Reviewed
• [Journal Article] Edaravone ameliorates diabetes-induced dysfunction of NO-induced relaxation in corpus cavernosum smooth muscle in the rat (2011)
  • Author(s): Ohmasa, F, Saito, M,Tsounapi, P, Dimitriadis, F, Inoue, S, Shomori, K, Shimizu, S, Kinoshita, Y. and Satoh, K.
  • Journal Title: Journal of Sexual Medicine Volume: 8 Pages: 1638-49
  • Peer Reviewed
• [Journal Article] Rhos and Rho kinases in the rat prostate : their possible functional roles and distributions (2011)
  • Author(s): Saito, M., Ohmasa, F., Shomori, K., Dimitriadis F., Ohiwa H, Shimizu, S., Tsounapi, P., Kinoshita, Y. and Satoh, K.
  • Journal Title: Molecular and Cellular Biochemistry Volume: 385 Pages: 201-13
  • Peer Reviewed