2012 Fiscal Year Annual Research Report
ホヤの中枢神経系構築過程において細胞周期を分化・形態形成と協調させる機構の解明
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11J00127
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小椋 陽介 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ホヤ / 神経管閉鎖 / 形態形成運動 / 細胞周期 / 細胞分化 / 表皮 / ライブイメージング / cdc25 |
Research Abstract |
神経管閉鎖過程においては、表皮細胞が細胞周期の長さを伸長化させることが細胞運動を引き起こして適切に形態形成運動を行うために重要である。本年度はcdc25の表皮特異的なエンハンサーの解析を行ってcdc25の発現制御に関わる転写因子の特定を試みた。cdc25の転写開始点より1984bpから2109bp上流の配列を解析した結果、転写因子GATA,AP-2,SoxB1の予測転写因子結合部位の存在がみとめられた。これらの転写因子結合部位に一塩基置換または欠失を導入したところ、レポーターとして用いたKaedeの原腸胚期における発現が低下し、これらの転写因子の結合部位が表皮でのcdc25のエンハンサー活性に重要であることが示唆された。さらにこれらの転写因子の機能をモルフォリノオリゴによって阻害したところ、Ci-GATAとCi-AP-2-like2の機能を阻害された胚においては表皮でのdcd25の発現低下が見られた。GATAに関しては外胚葉の初期特異化を制御することが以前に報告されており、Ci-AP-2-like2に関しては表皮で発現するセルロース合成酵素遺伝子Ci-CesAの転写を制御することを今回新たに見出した。これらの結果は形態形成過程における細胞周期の長さを制御するcdc25の転写が表皮の特異化や分化と協調した制御を受けていることを示唆し、交付申請書に記載された形態形成運動の過程において細胞分裂のタイミングを制御する機構に迫る発見である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
cdc25の転写調節機構の解析から形態形成過程における細胞周期がGATAによる表皮の特異化やAP-2による分化の制御と密接に関連していることを明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
神経管閉鎖過程においては転写因子GATAとAP2の発現低下が見られる。これらの転写因子の発現低下が神経管閉鎖過程における表皮細胞の細胞周期伸長化の原因であるかどうかを今後検討する予定である。
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