2012 Fiscal Year Annual Research Report
種子植物の生殖に関わるRNA結合タンパク質PPRの分子進化と機能の解明
Project/Area Number |
11J00134
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤井 壮太 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(SPD)
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Keywords | ミトコンドリア / 共進化 / RNA制御 |
Research Abstract |
本研究では35アミノ酸の縦列繰り返しモチーフであるpentatricopeptide repeat (PPR)タンパク質がRNAを認識するメカニズム,およびPPRファミリーの種子植物の生殖進化への関わりを明らかにすることを目的としている.本研究ではPPRのうち,Rf-PPRと呼ばれるサブグループに着目した.Rf-PPRはPPRの中でも特に多様性が高く,ミトコンドリアのRNA配列に対応して進化してきている.アブラナ科のモデル植物シロイヌナズナを用いる事で,Rf-PPRの機能解析,分子進化解析を行い,PPRとミトコンドリアゲノムの共進化の理解を目的とした. Rf-PPRのうち,シロイヌナズナRFL2のノックアウト系統を得て機能解析を行った.rfl2変異体ではミトコンドリアのorf291という遺伝子由来のRNAが異常蓄積することを明らかにした.RNA immunoprecipitationとRNA gel-shift assayを用いてRFL2がin vivoとin vitro両方でorf291の特異的なRNA(図1黄色部分)に結合する事を明らかにし,RFL2はorf291に由来するRNAの切断に直接関わっているという可能性が示唆された.rfl2変異体ではミトコンドリアCytochrome c oxidase複合体のサブユニットであるCOX2の量が約60%に減少していた.ORF291タンパク質とCOX2のN末端配列は100%一致しており,ミトコンドリア内膜貫通ドメインに相当する.従って変異体におけるCOX2の減少はORF291の異常な蓄積による競合作用の可能性も考えられ,今後詳細な生化学解析を行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
rf12変異体の表現型解析を行い,興味深い現象を見出す事ができた。また,RFLとorf291の共進化についても興味深い知見を得る事ができた.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では当初RFL2以外のRFLの機能解析も行い,機能的差異からPPRのRNA認識メカニズムを解く足がかりとする予定であった.しかし予定とは異なる手段で目標を達成することができたため,今後は広くRFL変異体の解析を行うよりも,RFL2の解析に集中する事で植物における新奇な進化原動力を解明する事を目指したい.さらにはPPRのフレキシブルなRNA認識機構を利用した特異的なRNAに結合する人工タンパク質のデザインにも挑戦する.
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