2011 Fiscal Year Annual Research Report
脊椎動物未受精卵の分裂停止因子Emi2の活性制御機構の解析
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11J00139
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
迫 洸佑 九州大学, 大学院・理学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 細胞周期 / Emi2 / Cdk1 / PP2A |
Research Abstract |
脊椎動物の未受精卵は、受精のために第二減数分裂中期(Meta-II)で細胞周期を一時停止する。Early mitotic inhibitor 2(Emi2)は、この分裂停止に必須の因子である。 1、Emi2はMos-MAPK経路の下流因子p90Rskからリン酸化を受け、3量体の脱リン酸化酵素であるPP2Aがそのリン酸化部位に結合することで活性化、および安定化することが知られている。このPP2Aは、A、B、Cサブユニットからなり、複数種存在するBサブユニットがその基質特異性を決定していることが知られているが、Emi2特異的に結合するPP2AのBサブユニットは同定されておらず、その詳細な分子機構も明らかになっていなかった。そこで本研究員は、本年度の研究においてツメガエル卵を用いたPP2ABサブユニットの同定に着手し、B56β/εサブユニットがEmi2に結合したPP2Aの構成因子であることを見出した。 2、Emi2内には不活性化に関与するCdk1リン酸化部位が存在することが知られているが、その詳細な分子機構は明らかになっていなかった。本年度の研究によって、Emi2のN末側の8カ所のCdk1リン酸化部位にCdk1自身、CK1、およびPlk1が結合し、Emi2の不活性化、および不安定化にはそれらの結合が必要であることが明らかとなった。また、リン酸化抗体などを用いた実験から、結合したこれらのキナーゼがEmi2へのさらなるリン酸化を行っている可能性が示唆され、それらのリン酸化が直接Emi2の活性化や安定化に寄与している可能性が高いことも明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究を遂行するにあたって、本研究員の所属する研究室の博士研究員や他のメンバーに協力して頂くことで様々な情報を得ることができ、研究結果を計画の早期の段階で国際誌に発表することができた。このため、現在は当初の研究計画のうち2年目の1/2程度(および3年目の研究計画の一部)が終了した状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は今後も当初の研究計画通り遂行する予定であるが、現在の状況を踏まえると来年度も当初の計画以上に進むことが予想される。その場合を想定し、この研究課題から派生した研究内容を模索する予定である。
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Research Products
(5 results)