2011 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属錯体触媒による不斉四置換炭素の立体選択的構築
Project/Area Number |
11J00257
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹田 桃太郎 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 触媒的不斉合成 / 遷移金属錯体触媒 / 不斉四置換炭素 / ロジウム / ジエン / 銅 / 含窒素複素環カルベン / 有機ホウ素反応剤 |
Research Abstract |
不斉四置換炭素は生理活性物質や医薬品に数多く見られる重要な不斉中心でありながら、このような立体中心の触媒的合成法は、反応性および選択性を両立させる困難さから、成功例は限られている。 前年度、我々はロジウム/キラルジエン触媒存在下、テトラアリール酸ホウ酸ナトリウムを求核剤に用いて、N-トシルケトイミンへの不斉付加反応が高収率、高エナンチオ選択的に進行することを報告した。当該年度において、テトラアリールホウ酸ナトリウムに随伴する原子効率の問題点を改善すべく、反応条件を再検討した。その結果、容易に調製可能である有機トリフルオロホウ酸塩を求核剤に用いることが可能であることがわかった。本反応では、ケトイミンの窒素上の保護基は4-トルエンスルホニル基のみならず、脱保護が容易な4-ニトロベンゼンスルホニル基も用いることが可能であることが明らかとなった。 さらに、銅触媒による有機ボロン酸エステルを用いたアリル化合物の不斉アリル位置換反応の開発にも着手した。比較的安価な銅錯体による、空気下安定で取り扱いの容易な有機ホウ素反応剤を用いた触媒的不斉合成は、現代の有機化学において有用な手法たりえる。これまで所属する研究室で開発されてきた銅/カルベン触媒を用いた有機ボロン酸エステルの不斉付加反応に関する知見を活かし、リン酸アリル類の不斉アリル位置換反応が高収率、高位置、高エナンチオ選択的に進行することを見出した。本反応では、γ位二置換のリン酸アリルを用いることによって不斉四級炭素中心を持つ化合物も合成することが可能である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に沿ってロジウム触媒による有機トリフルオロホウ酸塩のケトイミンへの不斉付加反応の開発に成功した。また、銅触媒による有機ボロン酸エステルを用いたリン酸アリル類の不斉アリル位置換反応の開発にも着手しており、不斉四級炭素中心を持つ化合物を良い立体選択性で得ることにも成功している。以上により、本研究課題はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
該当年度において、銅触媒による有機ボロン酸エステルを用いたリン酸アリル類の不斉アリル位置換反応を報告したものの、不斉四級炭素中心を与える反応について、その立体選択性は十分に高いとはいえない。今後は、反応条件を再検討してさらなる選択性の向上を目指す。また、汎用性の高い有用な反応の開発を見据えて、炭素求核剤ばかりではなくヘテロ原子求核剤を用いた反応への展開も視野に入れて研究をすすめる。
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Research Products
(4 results)