2012 Fiscal Year Annual Research Report
導電性高分子フォトニック結晶の数理解析と低電力駆動型・高性能回折光変調材料の作成
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11J00285
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
岡田 直樹 筑波大学, システム情報工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | メタマテリアル / フォトニック結晶 / モルフォチョウ / 光学迷彩 |
Research Abstract |
本年度は、ナノ構造とその発色を解析するためのシステムを構築し、特異な発色を有するモルフォチョウの解析を行った。モルフォチョウは、翅に備えられたナノ構造によって光を制御し、青色の光だけを強く反射する。ナノ構造の反射によるモルフォチョウの青色は、色索から得られる色よりも遥かに鮮明である。この特徴は本研究で扱う導電性高分子フォトニック結晶と類似しており、モルフォチョウのナノ構造は導電性高分子よりも物質定数および発色特性が実験的に明らかである。従って、モルフォチョウのナノ解析は、本研究で構築したシステムの妥当性を検証する上で重要である。本研究では、電子顕微鏡写真からモルフォチョウのナノ構造をモデリングし、光学シミュレーションによってその発色特性を正確に再現するシステムを構築し、その発色を実験と合わせて検証した。この研究成果では、ナノ構造の発色を再現する汎用のプロセスを提案しており、導電性高分子への応用が期待できる。 一方で本年度の研究では、より柔軟に光を制御するため、メタマテリアルによる光学迷彩の設計・解析を行った。光学迷彩は、覆った領域を外部から電磁的に検出できないようにする装置である。しかし、光学迷彩は覆った領域内部からの散乱を防ぐため、その内壁で光を完全に遮断してしまう問題がある。本研究では、内側から外側が見える光学迷彩を設計し、数値シミュレーションによってその性能を検証した。この研究成果より、光学迷彩の性能改善だけでなく、メタマテリアルを応用することによって導電性高分子の発色特性(特に視野角)の柔軟な光制御が見込まれる。 以上のように本年度は、ナノ構造の解析プロセスの開発と光制御の応用研究において成果を上げた。実施計画は、導電性高分子の解析においてやや遅れているものの、その基盤となる解析システムの構築と応用技術において当初の予定以上の進展があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究では、ナノ構造の解析プロセスの開発と光制御における応用研究において、当初の予想以上の進展があった。これら研究成果は、導電性フォトニック結晶の構造解析およびデバイス利用において、利便性と性能を向上させる足掛かりである。翌年度は、本年度の研究成果を基盤に導電性高分子フォトニック結晶の構造解析・最適化を迅速に推し進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では,本年度の研究成果に基づき導電性高分子フォトニック結晶の数値解析を行い、その発色を検証する。また、鮮明かつ広視野角な構造の設計・最適化を行う。しかし、これまでのモルフォチョウの解析を通じて視野角と反射色の密接な関係が明らかになっており、双方の性能を効果的に作り出すためにはメタマテリアルを用いた高度な光制御の必要性が見込まれる。従って翌年度は、メタマテリアルの利用に重点を置きながら、発色特性の革新を図る。
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Research Products
(8 results)