2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J00287
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
區 國昌 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Movement in depth / Time perception / Spatial perception / Attention capture / Visual awareness |
Research Abstract |
今年度は認知科学を専門とする研究室に博士課程の学生として入学し、実験心理学と心理物理学の手法を用いて、ヒトの視知覚に関する研究を複数立ち上げた。 一つ目の研究では時間知覚を扱った。実験では、観察者に向かってオブジェクトが接近(もしくは後退)するように感じられる視覚刺激を提示した。その際、奥行き手がかりとして視覚刺激の大きさと両眼視差を用いた。実験の結果、物理的時間は同じであっても、オブジェクトが接近するときに、後退するときよりも運動時間が短く感じられることが明らかになった。この成果は、日本バーチャルリアリティ(VR)学会第17回VR心理学研究会(2011年7月、富山)において、ポスターならびに3分間の口頭セッションで発表された。 もう一つの研究では、物体の運動がどのように時間知覚を変化させるかを検討した。眼球運動を追跡しながら実験した結果、運動する物体を観察すると、時間が長く知覚されることが示された。さらにこの効果は網膜位置ではなく物体の空間位置に依存して生じることも示された。この成果は、Frontiers in Psychology誌に英語論文として発表した(2012年2月)。 以上の時間的な知覚の歪みに加え、空間的な歪みについても検討した。所属研究室からすでに出版されている研究(Ono & Watanabe, 2011)を元に、注意による反発効果と引き付け効果(attentional repulsion and attraction effects)について検討した。 特に、短時間提示された刺激の空間位置に注意が潜在的に補足される効果について、2つの実験を通じて検討した。成果はConsciousness and Cognition誌に英語論文を投稿し、現在査読中である。 また、注意による反発効果と引き付け効果について、反応時間を計測することで他の面からも検討をおこなった。この実験では、注意による反発効果と引きつけ効果は素早く生じるので、刺激の提示タイミング(遅れ)は反応時間に影響を及ぼさないだろうと予測しておこなった。結果この仮説が支持され、現在英語論文をi-Perceptionに投稿中である(2012年3月)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度は博士課程(採用期間)の初年度であったが、ヒトの視知覚や認知に関する複数のプロジェクトを進めることができた。これらの成果の一部はすでに英語論文として出版されており、また、国際雑誌への英語論文の投稿や国際学会での発表も進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、これまでに引き続き、認知科学と実験心理学の手法を用いて、ヒトの視知覚と認知のメカニズムに関する研究を進める予定である。
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