2013 Fiscal Year Annual Research Report
レーザー発光法を用いたカリウム・アルゴン年代の惑星探査におけるその場測定法の開発
Project/Area Number |
11J00321
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長 勇一郎 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | カリウム・アルゴン年代 / その場年代計測 / 惑星探査 / LIBS-QMS法 |
Research Abstract |
本研究は、惑星着陸探査のその場で岩石の年代を計測する装置を開発することを目的とする。岩石の年代を計測するためにはカリウム・アルゴン法と呼ばれる手法を用いる。カリウムとアルゴンを定量するために、それぞれLIBS(レーザー発光法)およびQMS(四重極質量分析計)とよばれる分析手法を用いる。 平成25年度までに、LIBSとQMSを組み合わせた年代計測装置のプロトタイプの製作と実験、およびそれによって明らかになった問題点の改善を行い、鉱物試料の年代値を算出することができた。平成26年度は、装置を用いて天然の岩石試料のアイソクロン年代決定可能性を実証することを目的として一連の実験を行った。主な研究成果は次の通りである。 (1) 南極産の二つの片麻岩試料に対してレーザー分析を行い、カリウム-アルゴンアイソクロン年代を算出した。アイソクロンの傾きとして得られたアイソクロン年代は、当該試料に対して既に報告されているものと調和的であった。また、アイソクロンの切片として得られるアルゴンの初生比は、岩石固化時に大気の混入があったとするモデルに近い値であった。これらのことから、本手法によって天然岩石に対するアイソクロン計測が可能であることが示唆された。 (2) 計測システムへ既知量のArガスを導入することで装置の安定性と誤差を定量的に評価した。その結果、QMSの感度係数は5%程度の範囲で一定であり、充分な安定度をもつことが明らかになった。 (3) 本手法による年代計測精度を月・火星探査で必要な精度と比較した。その結果、火星の絶対年代モデルの不定性が約一桁減らせることや、過去30億年間の月の火成活動史を実証的な試料計測によって明らかできることが明らかになった。これは、本手法を用いた探査計画が実現すれば、惑星科学的に価値の高い計測が可能であることを示唆する。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(5 results)
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[Presentation] K-Ar年代その場計測装置の開発状況2013
Author(s)
長 勇一郎, 三浦 弥生, 諸田 智克, 亀田 真吾, 吉岡 和夫, 岡崎 隆司, 並木 則行, 石橋 高, 大野 宗祐, 小林 正規, 荒井 朋子, 千秋 博紀, 和田 浩二, 杉田 精司
Organizer
日本地球惑星科学連合2013年大会
Place of Presentation
千葉 幕張メッセ
Year and Date
2013-05-22