2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J00346
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤野 大士 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | パラジウム触媒 / 環化反応 / アリール化反応 / 小員環 |
Research Abstract |
(1)パラジウム触媒によるハロゲン化アリールとプロパルギル置換マロン酸エステルの反応によるメチレンシクロプロパンの合成 プロパルギル置換マロン酸エステルとハロゲン化アリールを、パラジウム触媒及び塩基存在下、トルエン中加熱還流させると、アリール基置換メチレンシクロプロパンが立体選択的に高い収率で得られた。本反応では、シクロプロパン環の構築とアリール基の導入が同時に起こるため、多置換メチレンシクロプロパンを簡便に合成できる。また得られたメチレンシクロプロパンの変換反応の開発にも成功し、生成物が合成中間体として有用であることを示した。 (2)パラジウム触媒によるハロゲン化アリールとホモプロパルギル置換マロン酸エステルの反応によるシクロペンテンの合成 ホモプロパルギル置換マロン酸エステルとハロゲン化アリールをパラジウム触媒および塩基存在下、DMF中60℃で反応させると、エンド型で環化が進行し、アリール基置換シクロペンテンが高い収率で得られた。本反応は、嵩高い配位子であるXPhosを用いることで初めて円滑に反応が進行する。通常カルボニル基等でアルキン部位を活性化していない基質を用いた場合、エンド型環化反応には強いルイス酸が必要である。しかし、本反応は電子豊富な配位子が配位したパラジウム触媒でも円滑に反応が進行している点が興味深い。また本反応を利用したヘテロ環の合成や、三環式化合物の合成への展開にも成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究では、研究計画の一つであるパラジウム触媒によるプロパルギル置換マロン酸エステルとハロゲン化アリールの反応によるメチレンシクロプロパンの合成を完成させることができた。また、この研究成果を海外の学会で積極的に発表した。その中で、IUPAC主催のOMCOS16においてはポスター賞を受賞することができた。さらに、メチレンシクロプロパンの研究の過程で、パラジウム触媒存在下、ハロゲン化アリールをホモプロパルギル置換マロン酸エステルに作用させるとシクロペンテンが得られることを見出した。以上のように、研究計画を順調に達成するだけでなく、他の有用な新規反応を見出すことにも成功しており、期待以上の成果を出すことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
酸化的環化官能基化によってメチレン置換小員環のビニル位に様々な官能基導入を試みる。まず、環化反応を効率的に進行させるため、酸化条件で安定であり環化に有効な配位子の検討を行う。次に酸化剤を詳細にスクリーニングし、多様な官能基の導入を検討する。特にヨードベンゼンジアセタートによるアセトキシ化およびN-ハロアミドによるハロゲン化について精査する。 さらに研究課題を進める過程で見出した、エンド型環化反応の検討も行う。具体的には、ホモプロパルギル位に酸素求核種や窒素求核種を有するアルキンのエンド型環化を伴うアリール化反応の開発を行う。
|
Research Products
(11 results)