2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J00346
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤野 大士 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アリール化反応 / パラジウム触媒 / イナミド / エンド環化 |
Research Abstract |
(1)パラジウム触媒を用いたハロゲン化アリールとω-ヒドロキシイナミドのエンド選択的環化反応 アリール基導入を伴う環化反応は、比較的単純な基質からアリール基を有する様々な環状化合物を一挙に構築できるため非常に有用である。しかしながら、環化における位置選択性は基質の構造に依存し、反応条件による選択性の制御は困難である。今回私は、パラジウム触媒存在下、ω-ヒドロキシイナミドとアリールトリフラートがエンド選択的に反応し、ケテンN,O-アセタールが得られることを見出した。また反応条件を変えることで、同様の反応がエキソ選択的に進行することがわかった。 アルゴン雰囲気下、触媒量のトリスジベンジリデンアセトンジパラジウムと挟み角の大きな配位子であるXantphos、および炭酸カリウムをDMAに懸濁させる。ここにω-ヒドロキシイナミドとフェニルトリフラートを加え、8時間加熱したところ、フェニル基が置換したケテンN,O-アセタールが収率74%で得られた。 一方、配位子にXPhosを用い、同じ基質とプロモベンゼンを反応させると、エキソ選択的に環化反応が進行し、テトラヒドロフラン誘導体が得られる。また本反応は高い立体選択性で進行する。同形式の反応では、分子内の求核種と導入されるアリール基がトランス配置になることが多いが、本反応ではアルキンに対し酸素原子とフェニル基がシス付加した生成物が得られた点で興味深い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究では、昨年度に見い出したパラジウム触媒によるホモプロパルギル置換マロン酸エステルとハロゲン化アリールの反応によるシクロペンテンの合成を完成し、国際誌に報告できることができた。また、イギリスの3ヶ月間の留学に際しては、カルボアニオンを用いた不斉反応の開発に従事した。さらに帰国後は、パラジウム触媒存在下、アリールトリフラートをω-ヒドロキシイナミドに作用させることで、エンド選択的環化を伴うアリール化反応が進行することを見出した。 以上のように、研究計画を順調に達成するだけでなく、新たに有用な反応を見出すことができ、期待以上の成果を出すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は新たに見出したω-ヒドロキシイナミドの位置選択的環化反応について検討を行う。具体的には反応機構の検討、さらなる基質適用範囲について検討する。また、求核種として酸素求核種だけでなく窒素や炭素求核種を用いることが可能か検討を行う。さらに5員環、6員環の他に、3員環または4員環の合成を検討する。 次により一般的な基質を用いた、パラジウム触媒によるエンド選択的環化反応の開発を行う。末端にアリール基やアルキル基を有するアルキノールを用いて、エンド選択的環化反応が達成できる条件の検討を行う。
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Research Products
(6 results)