2012 Fiscal Year Annual Research Report
フリーライド問題を解決するロバストな制度の設計:理論と実験
Project/Area Number |
11J00403
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
舛田 武仁 高知工科大学, 総合研究所, 助手
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Keywords | ただ乗り / アプルーバル・メカニズム / 公共財供給 / 制度設計 / 経済学実験 / 自発的寄与メカニズム / 頑健性 |
Research Abstract |
24年度は, 前年度に引き続き, パレート効率的な配分を達成する公共財供給制度, ミニマム・アプルーバル・メカニズムの理論・実験研究に取り組んだ. 公共財とは, 誰もがアクセスでき, かつ同時に消費できる財であり, その性質ゆえに誰もが他人に財を生産する努力を押し付けようとするフリーライド問題が伴う. そのため, 人々に自発的に協力できるようなメカニズムの設計は経済学の中心的課題であり続けてきた. しかし, 従来提案されてきたメカニズムの殆どは被験者実験で機能しない. 本研究の目標は, 従来の研究路線が依拠する人間行動に対する画一的で強い合理性に見直しを図りつつ, 実験でも機能するメカニズムの設計である. 主な成果は, ミニマム・アプルーバル・メカニズムの論文をゲーム理論のトップジャーナルであるGames and Economic Behaviorに投稿し, 軽微な改訂要求を受けたことである. これは, ミニマム・アプルーバル・メカニズム実験被験者がなぜ協力できたのかについて, 分析上の進展があったことが寄与している. より具体的には, 被験者の行動基準が多様であることが前年度中にも示唆されていたが, 第3者による被験者アンケート記述内容の分類を実施した結果をまとめ, 被験者が実際に用いていたと考えられる行動基準の整理をした. またその結果を学会で報告した. 更に, こうした発見を活かして多人数でも機能する新たな公共財供給メカニズムの実験を実施した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
被験者の記述を分類するという従来経済学ではあまりとられていなかった方法で被験者の行動原埋を抽出し, それらと理論モデルを結びつけた. さらに, トップジャーナルからの改訂要求を得た.
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Strategy for Future Research Activity |
論文の改訂要求に応え, 掲載受理を目指す. それと並行して, これまでの成果を拡張し多人数で機能するメカニズムの構築を行う.
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Research Products
(2 results)