2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J00455
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
前 伸一 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ヒトiPS細胞 / 中間中胚葉 / 腎臓 |
Research Abstract |
腎臓を構成する細胞のほとんどは、胎生組織である中間中胚葉に由来することから、ヒトiPS細胞からそれらの中胚葉細胞を分化誘導することが、腎臓再生の最初の重要なステップである。また、核内転写因子OSR1が中間中胚葉で最も早期かつ特異的に発現するマーカーとして知られている。初年度はOSR1に対するレポーター細胞株を樹立し、ヒトiPS細胞からOSR1陽性中間中胚葉細胞の分化誘導法を確立した。さらに、分化誘導した中間中胚葉細胞の発生生物学的機能も評価した。そこで、第2年度の目標として、初年度に樹立したレポーター細胞株から分化誘導したOSR1陽性中間中胚葉細胞とマウスの後腎細胞とを器官培養することによる三次元の尿細管様構造の形成と、学会誌への発表を掲げ、研究を実施した。 約50種類の増殖因子や低分子化合物の中から、器官培養によって管腔構造を形成可能な細胞へ分化誘導する因子の探索を行ったところ、TGF(transforming growth factor)β1が管腔構造形成能を獲得させる因子であることを見出した。そして、TGFβ1処理を施したOSR1陽性中間中胚葉細胞は器官培養によって、未分化iPS細胞と比較して有意に三次元の尿細管様構造を形成することも確認できた。ここまでの研究成果を、Nature Communications誌に発表した。 以上、OSR1レポーターヒトiPS細胞から高効率に中間中胚葉細胞を作製し、器官培養によって腎臓の一部構造を再現できたこと、また学会誌に発表できたことにより、平成24年度の研究計画を達成することができたと考える。今後は、本分化誘導技術に改良を加え、応用することによって、腎発生機構の解明および、細胞療法や疾患モデル作製に向けて研究を発展させたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
樹立したOSR1-GFPノックインヒトips細胞から中間中胚葉細胞を高効率に分化誘導する方法を確立し、管腔構造形成能を獲得させる増殖因子を見出すことができたこと、および学会誌に発表できたことから、当初の計画通り順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに確立した分化誘導法は、増殖因子を用いていることから、コスト面やロット間の差に問題があることが考えられる。そこで、より安価かつ安定的に中間中胚葉を得るために、中間中胚葉を分化誘導可能な低分子化合物を高速スクリーニングにより探索する。また、分化誘導した中間中胚葉細胞の遺伝子発現や生理機能、発生生物学的機能などが生体内のものと同じであるか否かを入念に検証する。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Monitoring and robust induction of nephrogenic intermediate mesoder m from human pluripotent stem cells2013
Author(s)
Shin-Ichi Mae, Akemi Shono, Fumihiko Shiota, Tetsuhiko Yasuno, Masatoshi Kajiwara, Nanaka Gotoda-Nishimura, Sayaka Arai, Aiko Sato-Otubo, Taro Toyoda, Kazutoshi Takahashi, Naoki Nakayama, Chad A. Cowan, Takashi Aoi, Seishi Ogawa, Andrew P. McMahon, Shinya Yamanaka, Kenji Osafune
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 4:1367
DOI
Peer Reviewed
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