2012 Fiscal Year Annual Research Report
物性論における双対性とトポロジー的側面についての研究
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11J00593
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
木村 太郎 独立行政法人理化学研究所, 橋本数理物理学研究室, 特別研究員(PD)
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Keywords | 量子渦 / 超対称ゲージ理論 / トポロジカル絶縁体 / 量子ホール効果 / ランダム行列理論 / リーマン予想 / 格子ゲージ理論 |
Research Abstract |
量子渦は超伝導体や冷却原子系で見られる現象であるが,物性系に限らず素粒子論・宇宙論などでも広く議論されている普遍的な現象である.中でも近年においては,実験技術の向上により非可換ゲージ理論における量子渦の検出の期待が高まっている.そのような非可換量子渦の特徴として,渦の位置以外にも内部モジュライと呼ばれる自由度が存在し,その低エネルギー理論に重要な役割を果たす.今年度はBPS量子渦における場の理論への非摂動的効果を厳密に取り扱う方法についての研究を行った.その結果としてHiggs相におけるBps状態を取り扱う方法に基づいて量子渦の非摂動論的効果を求めることに成功し,従来の4次元超対称ゲージ理論からの次元縮約や,超弦理論やその背景にあるM理論のダイナミクスを仮定した方法の正当性を明らかにした.さらにはその可積分系や,結び目理論との関係など,数理的な側面についての研究も行った. また,重力理論に基づいた粘弾性理論の新しい定式化についての研究も行った.電磁気学との類似性に着目することによって様々な輸送現象を統一的に記述することが可能となり,特に近年注目されているトポロジカル物質中で重要となる非散逸輸送現象に対する公式(Streda公式)を導出した.通常,輸送係数を特徴付ける輸送係数は線形応答理論により,微視的な相関関数によって表すことが出来る.一方でStreda公式を用いると,非散逸輸送に対する輸送係数であるホール係数を巨視的な熱力学量によって表すことが可能になり,非散逸粘性の実験的な検出可能性についても議論することが出来る. その他にも,新しい格子フェルミオンを用いた有限温度・密度QCDへの応用可能性や,ランダム行列理論に基づいたゼータ関数,L関数の研究などを行った.
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Research Products
(14 results)