2011 Fiscal Year Annual Research Report
天の川銀河中心領域の局所X線天体の特性と極限環境との相関研究
Project/Area Number |
11J00595
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中島 真也 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 天の川銀河中心 / プラズマ / 超巨大ブラックホール / X線検出器 |
Research Abstract |
本研究は、天の川銀河中心の極限環境が天体の形成にどのような影響を及ぼすのか調べるのが目的である。今年度は研究計画に基づいてこの領域の天体サーベイを行い、南側領域に新しい天体を発見することに成功した。この天体を詳しく解析したところ、300光年もの大きさに広がる巨大な高温プラズマであることが判明した。さらに、このプラズマは異常に電離が進んだ状態であることを突き止め、極限環境との相関を強く示唆していた。これらのことから、このプラズマが天の川銀河に存在する超巨大ブラックホールSagittarius A*からのジェットの名残ではないかとの仮説を立てた。他の銀河の中心ブラックホールからジェットが吹き出している様子はよく観測されているが、我々の天の川銀河中心ではジェットが観測されていない。このプラズマは超巨大ブラックホールが過去の活発で、ジェットを吹き出していたことを示しているのではないだろうか。この仮説を検証すべく、現在さらなる解析を進めているところである。天体解析の一方で、天の川銀河中心領域をさらに精度よく観測するための新型X線検出器の開発にも精力的に取り組んだ。これはSOICMOSという新しい技術を用いた半導体検出器であり、CCDの1万倍以上高速に読み出すことができるのが特徴である。修士の時から取り組んでいた開発を引き続き行い、今年度は特に検出効率の向上に重点をおいた開発を行った。試作第一号機の結果をフィードバックした二号機を製作し、目標とする検出効率を達成することに成功した。この結果は国際学会の査読付きプロシーディングとして受理されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度はサーベイにより新天体を発見することが目標であり、9.で述べた巨大な高温プラズマの発見することに成功した。これに加えて、このプラズマが特異な性質を持っていることを示し、SagittariusA*が過去にジェットを放出していた可能性を指摘したことは、当初の計画以上の進展と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
高温プラズマは300光年もの大きさに広がっているので、場所ごとに特性に違いが無いかを調べることで、その起源により制限をつけることを考えている。この目標を達成するためにの追加観測提案がすでに受理され、次年度中に観測される予定である。ほぼ確実に成果が上がることが見込まれ、現在のところ遂行する上で大きな問題点はない。この結果を次年度中に投稿論文としてまとめ、博士論文への足がかりとする。
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Research Products
(8 results)