2011 Fiscal Year Annual Research Report
量子縮退原子-イオン混合系の超高空間分解観測および制御
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11J00618
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
柴田 康介 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 原子・分子物理 / 量子エレクトロニクス |
Research Abstract |
まず、3次元光格子(格子間隔266nm)中のイッテルビウム原子に対する、超高空間分解制御の実験を行なった。これまでに,大きな磁場勾配(典型的に100G/cm)を用いて空間的に不均一なポテンシャルを原子に印加し、1SO状態-3P2状態間の狭線幅な光学遷移に対応する波長507nmを持つレーザー光により266nm間隔で存在する原子からの分離したスペクトルを得ている。さらに、楕円型に整形した波長770nnのレーザー光による不均一なポテンシャルに対応するスペクトルを得ることにも成功した。 また、超高空間分解観測に適した形で、174Yb原子のボース・アインシュタイン凝縮体を生成することに成功した。上面から底面まで14mmのガラスセル中で、超高空間分解観測用の対物レンズと干渉しない配置の交差型光トラップに原子を導入し、蒸発冷却を行なうことで、ボース・アインシュタイン凝縮体を生成した。 さらに、観測対象となる2次元格子系を実現した。2次元系生成にあたり、1軸方向の運動を凍結するために原子を1軸方向に強く閉じ込める必要がある。本研究では、1本のビーム(波長532nm)を、1枚の部分反射ミラーで等しい強度をもつ2本のビームに分割し、それらを1枚のレンズで絞って原子位置に干渉パターンを作り、原子を1方向に強く閉じ込めるという新たな方法を開発した。ボース・アインシュタイン凝縮体をこのトラップに導入し、さらに、水平方向で互いに直交する2つの光格子を立ち上げることにより、2次元光格子系を実現した。 さらに、高空間分解観測に関し、高空間分解観測用のイメージング系を構築し、そのイメージング系を通し、原子の吸収イメージング像を撮影した。さらに、少数個の原子(各格子点の原子を観測するためには、1個の原子を観測する必要がある)の観測に適した発光イメージングにも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
冷却原子あるいはイオンの超高空間分解観測に関する準備を終わらせることができた。超高空間分解観測にあたっては、様々な新しい装置・技術を導入する必要があり、今年度内でこの準備ができたことは、研究の目的が順調に達成に近づいているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、まず冷却原子の超高空間分解観測を実現する。さらに、これまでに行なった磁場勾配あるいは光ポテンシャルにより原子集団の超高空間分解制御を実現する。これらが実現できれば、イオンの生成、トラップに取り組む。
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Research Products
(1 results)