2011 Fiscal Year Annual Research Report
第一原理計算によるゲルマニウム系デバイスの機能予測
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11J00621
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
齊藤 正一朗 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 第一原理計算 / ハイブリッド汎関数法 / Geトランジスタ |
Research Abstract |
シリコンを超えるトランジスタのチャネル材料としてゲルマニウム(Ge)が注目を集めている。本研究は、実験パラメータを一切使用することなく材料特性を予測できる第一原理計算を用いて、Geをチャネルとする金属-絶縁体-Ge界面の形成技術の確立を目的としている。 通常の密度汎関数法で半導体や絶縁体を扱うとバンドギャップを過小評価することがわかっている。これは、交換・相関項共に近似した局所密度近似や一般化密度勾配法(GGA)を用いるからである。一方で、ハートリー・フォック(HF)法では交換項のみを厳密に取り扱うため、バンドギャップが過大評価される。 したがって、近似した交換・相関項(GGA)と厳密な交換項(HF法)を一定の比率で混合すれば、バンドギャップの過小評価を克服できると考えられる。このような交換・相関項の取り扱い方法をハイブリッド汎関数法といい、バンドギャップを過小評価する問題を解決する一つの方法として近年注目を集めている。ハイブリッド汎関数法には混合比の決め方により様々な種類があるが、本年度はPBEOという種類のハイブリッド汎関数法の開発を行った。PBEOでは、PBEと呼ばれるGGAの交換を75%、HF法の交換を25%、PBEの相関を100%とする。本研究では、すべての物理量を実空間で計算を行う実空間差分法に基づく第一原理計算手法にハイブリッド汎関数法を導入した。平面波を基底関数とするハイブリッド汎関数法と同等の解離曲線やバンド図が得られることを確かめ、当初の予定通り当該年度内に実空間差分法に基づくハイブリッド汎関数法の開発を完成させた。次年度以降は、更なるプログラムの高速化を行い、絶縁体-Ge界面のシミュレーションを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画通り当該年度内にプログラムを完成させることができたが、現状のアルゴリズムでは翌年度に行う予定である規模のシミュレーションを行うのが難しい。研究計画では、次年度は完成したプログラムを用いてシミュレーションを行う予定であったが、次年度も引き続きプログラムの更なる高速化が必須であることから、やや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度に導入したハイブリッド汎関数法におけるイオン・電子間相互作用は、ノルム保存型擬ポテンシャルを用いている。一方で、PAW擬ポテンシャルは、内殻電子を正確に取り扱いつつ、ポテンシャルが滑らかであるため、高い精度を保ちつつ、より高速なシミュレーションを可能とする。したがって、ハイブリッド汎関数法を用いた大規模なシミュレーションを実現するために、PAW擬ポテンシャルを用いたハイブリッド汎関数法の開発が必要である。そこで、当初の研究計画を変更し、PAW擬ポテンシャルを用いたハイブリッド汎関数法のプログラム開発を行い、高精度かつ超並列計算が可能なハイブリッド汎関数法の完成を目指す。
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Research Products
(7 results)