2011 Fiscal Year Annual Research Report
近赤外応答四重極共鳴局在表面プラズモンセンシングプレートの開発
Project/Area Number |
11J00676
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
内田 修平 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 表面プラズモン / 大気圧プラズマ / 自己組織化 / ナノ粒子 |
Research Abstract |
本研究課題では、アルツハイマー病等のバイオマーカー分子のピコmolレベルの超高感度検出を可能とする局在型表面プラズモンセンシングプレートの開発および早期実用化に向けた製造プロセスの設計に挑戦している。超高感度検出実現のためには、個々のナノ構造体表面に複雑かつ大きな電気分極を発生させ、プラズモン励起共鳴周波数分布の狭幅化が必要不可欠となる。このため四重極子を含む高次プラズモン振動モードが発現する非対称性構造に着目し、高精度かつ高効率なアレイ化を実現するための作製プロセスの設計と要素技術の構築に取り組んだ。 自己組織化現象を用いることで、簡便な装置系でありながら大面積における薄膜作製が可能な水平駆動型ナノコーターを開発し、30x30mm^2の基板上において六方充填型の高品位なポリスチレンナノ粒子膜を実現した。ナノ粒子表面に大気圧ヘリウムプラズマを照射した後、上記のナノコーターを用いてマスク薄膜を作製した。再度ヘリウムプラズマを照射することでナノ粒子をエッチングした。電子顕微鏡を用いた観察により、粒子上部のみが先鋭化された非対称性ナノ構造体アレイの形成が確認された。表面に金超薄膜を作製し、光学特性を評価したところ、近赤外光領域にプラズモンピークを有することが明らかになった。 独自に開発したプロセスを用いて局在型表面プラズモン共鳴に由来する光学ピークを有する非対称性金属ナノ構造体アレイを作製した。各要素技術は簡便なプロセスであるため、今後の実用化に向けての障壁も少ないといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的である非対称性ナノ構造体アレイを作製し、近赤外光領域にプラズモンピークを有することを確認できたため、研究は順調に遂行できたと考えられる。現在のナノ構造体形状を用いることで超高感度検出が達成可能かどうかを検討する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は作製した作製したセンシングプレートに生体分子を吸着させ、実際の検出感度を算出する。現在得られているナノ構造体は申請当初の形状とは異なるため、超高感度検出達成のための構造最適化に関して更なる検討が必要である。有限時間領域差分法等の数値解析手法を用いた理論的なアプローチにより実現可能な非対称性構造設計をおこなう。また、プレートの大型化も必要不可欠である。現在の基板作製方法では30x30mm^2以上の領域ではプロセスの途中で溶液内のナノ粒子が枯渇し、連続した粒子膜が得られない問題がある。このため、粒子膜作製部分にナノ粒子を連続的に補填する機構を追加し、この問題を解決する予定である。
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