2012 Fiscal Year Annual Research Report
近赤外応答四重極共鳴局在表面プラズモンセンシングプレートの開発
Project/Area Number |
11J00676
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
内田 修平 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 表面プラズモン / 自己組織化 / ナノ粒子 / 大気圧プラズマ |
Research Abstract |
本研究課題では、アルツハイマー病等のバイオマーカー分子のピコmolレベルの超高感度検出を可能とする局在型表面プラズモンセンシングプレートの開発および早期実用化に向けた製造プロセスの設計に挑戦している。超高感度検出実現のためには、個々のナノ構造体表面に複雑かつ大きな電気分極を発生させ、プラズモン励起共鳴周波数分布の狭幅化が必要不可欠となる。このため四重極子を含む高次プラズモン振動モードが発現する非対称性構造やナノ構造間に誘起される、ホットスポットと呼ばれる増強電場に着目し、高精度かつ高効率なアレイ化を実現するための作製プロセスの設計と要素技術の構築に取り組んだ。 独自に開発したプロセスにより、30x60mm^2サイズの基板上にナノシェル周期配列構造を作製した。大気圧プラズマエッチング技術により、ナノシェル間距離を数十ナノメートルに調整し、そのナノシェル間隙に増強電場が発生することを確認した。ナノシェルアレイ表面にリンカ-分子を介して生体分子を吸着・固定し、各吸着プロセス後において光学特性を評価したところ、プラズモン共鳴波長の赤外方向へのシフトがみられた。これは各分子がナノシェル表面に吸着することにより表面近傍の局所的な誘電率が変化したためであると考えられる。特定生体分子の検出限界感度を見積もったところ、5フェムトmol/Lであることがわかった。構造間に間隙を有するナノ構造とすることで、飛躍的に感度を向上させることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画ではピコmolレベルでの検出感度を目標としていたが、ナノギャップ構造を採用することでフェムトmol/Lレベルでの検出限界感度に達することが明らかになったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は更なる検出限界感度の達成のため、ナノ構造の最適化に取り組む。具体的には非対称性構造を作製することによる複雑なプラズモンモードの誘起を検討している。また、センシングプレートの早期の実用化を図るため、線センシングプレート基板の大型化、シェル部分を高価でない金属へ代替することを検討する。
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