2011 Fiscal Year Annual Research Report
RNA立体構造の認識を基盤とした機能性ncRNAの探索・解析技術の開発
Project/Area Number |
11J00683
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石川 隼也 九州大学, 工学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | RNA立体構造 / RNAモチーフ / 分子進化工学法 / 分子設計法 / リボザイム / 機能性RNA |
Research Abstract |
生体内では、タンパク質のように立体構造を形成して多彩な機能を発現する機能性RNAが活躍している。機能性RNAを探索・機能解明することは、高度な生命の本質を理解するための一端を担う。そこで本研究では、RNAの立体構造認識能を利用して、新規機能性RNAを探索・解析する技術を開発することを目的とした。 本年度はRNAの立体構造認識に基づいた機能性RNA検出プローブの開発を課題とした。従来の核酸プローブは標的核酸との二重鎖形成を基本原理としている。しかし、この原理に基づくプローブは、標的核酸が高次構造やタンパク質との複合体を形成している場合、プローブ-標的核酸の二重鎖形成が阻害されるという問題を抱える。そこで、この問題を回避する手段として、二重鎖形成ではなく高次構造認識を原理とするプローブを提案する。本プローブは、高次構造を認識するRNAモチーフ部位、認識に伴い触媒活性を発現するリボザイム部位から構成される。これまでに、標的高次構造を認識するモチーフを、立体構造の設計及び分子進化工学法を用いて取得した。概念実証の例として、すでに構造が明らかになっている機能性RNAの部分構造を標的高次構造とした。得られたモチーフと標的高次構造の相互作用について、非変性ゲルシフトアッセイ及び核酸の化学修飾法により解析した。他の人工モチーフに匹敵する結合定数を有し、また、その結合に伴い立体構造が安定化されることが示唆された。この結合に伴う構造の安定化、という性質はプローブを開発する上で好ましい。プローブのON/OFFスイッチ機構として構造安定化が利用できるからである。実際に、このモチーフを組み込んだ機能性RNAの機能発現が標的構造との相互作用に依存することを明らかにした。以上の成果はプローブ開発達成の高い実現可能性を示す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究により、RNA立体構造認識型プローブの開発に向けて基盤となる成果が得られたからである。具体的には、プローブを構成するRNAモチーフの取得し、RNAモチーフと標的構造との相互作用を解析した。これらの結果を基に、機能性RNAプローブを開発することが次の課題となる。
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Strategy for Future Research Activity |
第一に、「11.現在までの達成度」に述べたように、RNAモチーフを用いてプローブを設計し、評価することが今後の方策である。 第二に、年次計画にあるように、取得したRNAモチーフを用いた精製システムの開発に取り掛かる予定である。
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