2012 Fiscal Year Annual Research Report
RNA立体構造の認識を基盤とした機能性ncRNAの探索・解析技術の開発
Project/Area Number |
11J00683
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石川 隼也 九州大学, 工学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | RNA立体構造 / RNAモチーフ / 分子進化工学法 / 分子設計法 / リボザイム / 機能性RNA |
Research Abstract |
生体内では、タンパク質のように立体構造を形成して多彩な機能を発現する機能性RNAが活躍している。機能性RNAを探索・機能解明することは、高度な生命の本質を理解するための一端を担う。そこで本研究では、RNAの立体構造認識能を利用して、新規機能性RNAを探索・解析する技術を開発することを目的とし、RNA立体構造認識型機能性RNA検出プローブの開発を課題とした。 従来の核酸プローブは標的核酸との二重鎖形成を基本原理としている。しかし、この原理に基づくプローブは、標的核酸が高次構造やタンパク質との複合体を形成している場合、プローブ-標的核酸の二重鎖形成が阻害されるという問題を抱える。そこで、この問題を回避する手段として、二重鎖形成ではなく高次構造認識を原理とするプローブを提案した。本プローブは、高次構造を認識するRNAモチーフ部位、認識に伴い触媒活性を発現するリボザイム部位から構成される。前年度の成果として、標的高次構造を認識するモチーフを、立体構造の設計及び分子進化工学法を用いて取得した(計画(1)。得られたモチーフと標的高次構造の相互作用について、非変性ゲルシフトアッセイ及び核酸の化学修飾法により解析した。取得したモチーフは他の人工モチーフに匹敵する高い結合親和性を有し、また、その結合に伴い立体構造が安定化されることが示唆された。この結合に伴う構造の安定化、という性質はプローブを開発する上で好ましい。プローブのON/OFFスイッチ機構として構造安定化が利用できるからである。本年度は、プローブ開発の構造認識に伴い触媒活性を発現するリボザイムの構築を試みた(計画(3)。取得したモチーフを組み込んだスプライシングRNAの機能発現が標的構造との相互作用に依存することを明らかにした。また、このスプライシングRNAは試験管内では機能するが、大腸菌内では機能しないことが示された。この理由の一つとして、細胞内でのRNA合成中のフォールディングが試験管内のフォールディング様式と異なることが考えられる。以上の結果から、モチーフを組み込んだスプライシングRNAは、細胞中でのRNAのフォールディングと機能の相関関係を解明する上で興味深い研究対象となると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度は計画(1)、本年度は計画(3)を実施したが、計画(2)の実施には至っていないため。 第一に、計画(2)(構造認識を利用した機能性RNA精製法の確立)の実施が必要であると考えます。
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Strategy for Future Research Activity |
第二に、スプライシングRNAで見られた「人工RNAの細胞内での機能失活の原因究明」が今後、必要となると考えます。
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