2011 Fiscal Year Annual Research Report
テルペノイドのコンビナトリアルバイオケミストリーと微細藻類における合成生物学
Project/Area Number |
11J00741
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
池澤 信博 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | テルペノイド / コンビナトリアルバイオケミストリー / クラミドモナス / 合成生物学 |
Research Abstract |
1.「テルペノイドのコンビナトリアルバイオケミストリー」について…4種類のセスキテルペン(guaiene、vetispiradiene、cadinene、valencene)合成酵素それぞれについて、酵母のコドン使用頻度に合わせた遺伝子を合成依頼した。さらに、それらを酵母発現用ベクターに組み込み、ファルネシルニリン酸(FPP)高生産性改変酵母に導入した。組み換え酵母抽出物のGC-MS分析の結果、いずれの合成酵素遺伝子を用いた場合でも、目的とするセスキテルペンの生成が確認できた。今後、任意のシトクロムP450と組み合わせてFPP高生産性改変酵母中で発現することで、非天然型セスキテルペノイドを生成させる予定である。 2.「微細藻類における合成生物学」について…クラミドモナスの核・葉緑体形質転換系を所属研究室で新たに立ち上げた。葉緑体形質転換に必要であるパーティクルガンのセットアップに時間が掛かったため、まず、クラミドモナス核の形質転換をおこなった。クラミドモナス核にコドン最適化したamorpha-4,11-diene合成酵素(ADS)遺伝子をクラミドモナス核に導入し、培養・抽出・GC-MS分析により、amorpha-4,11-dieneの生成を調べたが、検出には至らなかった。そこで、クラミドモナス核にコドン最適化した鳥類のFPP合成酵素(FPPS)遺伝子を合成依頼し、ADSと共に葉緑体移行シグナルを付加した後、クラミドモナス核に導入した。しかし、導入を確認した2株の抽出物分析からは、目的化合物の検出は出来なかった。一方、パーティクルガンのセットアップ後、クラミドモナス葉緑体形質転換により、クラミドモナス葉緑体にコドン最適化したFPPS、ADSの導入を行った。現在、葉緑体ゲノム全てが組換え型になった株を得るべく、選択培地上で継代を続けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、クラミドモナスの葉緑体形質転換を実験目的の一つとしていたが、当該実験に必要であるパーティクルガンは研究開始時には所属研究室にないものであった。移設の手続きが鋭意おこなわれていたが、パーティクルガンは高圧ガス製造設備であり、その設置の書類申請・認可の事務手続きに予想以上に時間がとられてしまった。その結果、葉緑体形質転換実験については計画より遅れている。一方で、研究目的には明記していなかったクラミドモナスの核の形質転換についても系の立ち上げをおこない、FPPS、ADS共に葉緑体移行シグナル融合遺伝子を作成し、クラミドモナス核へ導入するという実験をおこなった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、「テルペノイドのコンビナトリアルバイオケミストリー」については、機能が確認できたセスキテルペン合成酵素と任意のシトクロムP450を組み合わせFPP高生産性改変酵母中で発現することで、非天然型セスキテルペノイドを生成させる。また、「微細藻類における合成生物学」については、FPPS、ADSをクラミドモナス葉緑体へ導入した株を作出しており、現在、葉緑体ゲノム全てを組換え型に変えるべく、選択培地上で継代培養を続けている。今後、組換え株においてFPPS、ADS共に導入されていることをPCRで確認後、組換え株の培養・抽出・GC-MS分析により、amorpha-4,11-dieneの生成の有無を調べる。生成がみられた場合、クラミドモナス葉緑体にコドン最適化したamorpha-4,11-dieneC120xidase遺伝子(CYP71AV1)、NADPH_P450還元酵素遺伝子を、amorpha-4,11-diene生産クラミドモナスの葉緑体へ導入し、導入株におけるアルテミシニック酸生成の有無を調べる。
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Research Products
(4 results)