2011 Fiscal Year Annual Research Report
モノサイクル量子もつれ光の実現と新しい時間領域トモグラフィ法による検証
Project/Area Number |
11J00744
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 陽 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 量子光学 / 非線形光学 / 量子情報 / 量子もつれ / 量子測定 / もつれ光子対 / 擬似位相整合素子 / 二光子波導関数 |
Research Abstract |
本研究の目的は量子力学的もつれを利用した高い同時性をもつ光子対の発生である。当該年度ではチャープ擬似位相整合素子を用い、自発的パラメトリック下方変換により非同軸方向に光子対を発生する実験系を構築し、その分光測定を基軸として研究活動を進めた。二光子波動関数の周波数特性を評価する為、分極反転周期がチャープされたタンタル酸リチウム結晶(栗村直博士ら(NIMS)との共同研究)をグリーンレーザー(波長532nm)で励起し、レーザーと非同軸方向に光子対を発生させ、もつれ光子対の分光測定を行った。2つのアイリスで光子対をレーザー光軸から±0.25°方向に分離し、光子を分光器に通し、近赤外の波長全域に感応する検出器である超伝導単一光子検出器(南京大との共同研究)及び光電子増倍管で光子計数測定を行った。結果として二光子の各々が790-1610nmという広帯域な波長域において連続的なスペクトルをもつことを確認した。 またHarrisの理論(PRL、98,063602(2007))の拡張として非同軸な光子対の片側にチャープ補正を加え、和周波発生で時間相関を測定するというアイデアを発案した。この方法では、実験結果として得られた二光子の同時性は中心波長1064nmの光の1.1周期まで原理的には圧縮可能であり、時間領域における二光子波導関数の絶対値が測定可能と判明した。また今年度構築した実験系は波長フィルタリング後の光子対の同時計数測定に連続的に移行することが可能である為、今後は二光子の周波数もつれ測定が期待される。 さらに時間特性を評価するため、空間位相変調器を用いたチャープ補正の詳細な設計を行い、パルス圧縮の基礎技術にも習熟を深めた。トモグラフィ理論においては、共同研究者のH.Hofmann博士(広島大)らのグループ及びSteinberg博士(Toronto大)と議論を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験の結果、チャープ擬似位相整合素子は原理的には1.1サイクルの時間相関の圧縮が達成可能なスペクトルをもち、モノサイクルもつれ光子対光源として利用可能であることが判明した。同時に超広帯域な光子検出可能な検出器(SNSPD及びPMT)の評価が進み、このような広帯域なもつれ光子対の周波数もつれ測定が見込まれる。理論的には、空間位相変調器などで光子対の時間相関の圧縮を行い、非同軸条件の二光子波動関数の絶対値測定が可能である。以上により、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目においては同時計数分光システムを用い、超広帯域な二光子波動関数の周波数もつれ測定を目指す。またそのもつれ量の評価を行う予定である。和周波発生と二光子の位相補償については、パルスレーザーを用いて基礎技術の習熟を深め、低チャープな素子から発生した二光子の時間もつれの測定及び理論的な評価を進める。段階的にモノサイクルでの時間もつれの測定に移行する。また二光子波動関数の極短時間領域での物質との相互作用に関する理論の検討を進める。時間領域トモグラフィの理論については今後の実験状況を見て、順次実験系の構築を進める予定である。
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Research Products
(18 results)
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[Presentation] Single-shot broadband photon spectroscopy of parametric fluorescence generated from chirped MgSLT crystal towards realization of mono-cycle photonic entanglement2012
Author(s)
A.Tanaka, R.Okamoto, H.H.Lim, S.Subashchandran, M.Okano, S.Kurimura, L.Zhang, L.Kang, J.Chen, P.Wu, T.Hirohata, S.Takeuchi
Organizer
The 15th SANKEN International Symposium 2012/The 10th SANKEN Nanotechnology Symposium
Place of Presentation
大阪大学吹田キャンパス、大阪
Year and Date
2012-01-12
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