2011 Fiscal Year Annual Research Report
モデル生物及び近縁種を用いたフィールドオミクス研究
Project/Area Number |
11J00749
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
永野 惇 京都大学, 生態学研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | フィールドオミクス / トランスクリプトーム / RNA-Seq / 統計モデリング / 野生個体群 / 環境応答 / 季節応答 / 野外環境 |
Research Abstract |
今年度は、(1)シロイヌナズナ及び近縁種での大量トランスクリプトームデータ取得のための低コスト・ハイスループットRNA-Seq法の確立と、前年までに我々によって得られていたイネのデータを利用し、(2)大量トランスクリプトームデータ取得後の統計モデリング解析のさらなる高度化に取り組んだ。 (1)本研究の中核であるフィールド・オミクスは、我々によって開発された手法で、大量のオミクスデータ(特にトランスクリプトームデータ)を気象観測データなどと組み合わせて統計モデリングを行うことで複雑な野外環境下での環境応答などを明らかにできる。そこで大量のトランスクリプトームデータの取得が必要になるが、市販のRNA-Seqライブラリ調製キットを用いた場合、およそ5万円/サンプル・10サンプル/週のコスト・労力がかかり多検体の解析は現実的ではない。これを回避するために独自の低コスト・ハイスループットライブラリ調製手法の確立に取り組んだ。各反応ステップにおける反応系容量・精製手法などの見直しと最適化などによって、大幅なコスト・労力の削減が可能になる見込みであり、予備的な実験では良好な結果を得ることができた。 (2)フィールド・オミクスでは大量のトランスクリプトームデータ取得後の統計モデリング解析が重要なステップである。そこで、(1)と並行して、この統計モデリング解析のさらなる高度化にも取り組んだ。我々が先行して解析を進めてきたイネのトランスクリプトームデータを利用して、統計モデリングの結果をもちいて特定の環境要因に影響を受けるなどの特徴を有する遺伝子と機能カテゴリの間の関連を検出する解析手法などを確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の目標を達成するのに十分なサンプルは既に収集済みである。また、これら全てをもちいてトランスクリプトームデータを取得するために、低コスト・ハイスループットの実験系を確立見込みであり、それによって当初計画をはるかにこえる量・質のデータを得ることが出来る。以上の理由から、当初の計画以上に研究は進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は今年度に準備した低コスト・ハイスループットの実験系を用いて大量のトランスクリプトームデータを取得する。そのトランスクリプトームデータと気象庁によって収集された気象データを組み合わせて統計モデリングを行い、野外の季節変動や短期の気象変化によってトランスクリプトームがどのように制御されているかを明らかにする。予測される問題点としては、統計モデリングに必要な計算量が膨大になる点がある。この問題点に対しては、クラウド型の計算リソースの活用と計算科学を専門とする研究者とのコラボレーションによって対応する予定である。
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Research Products
(8 results)