2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J00778
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
東山 大毅 神戸大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 脊椎動物 / 三叉神経 / 咽頭弓 / 進化 / 解剖 / 発生学 / 顎 / 鰓弓神経 |
Research Abstract |
当該年度は、マウス(Mus museulus)において顎骨弓(第一咽頭弓)特異的に発現するDlx1の発現領城と三叉神経のパターンの比較を行った。またこれまでに得られたマウス、ニワトリ(Gallus gallus)、ソメワケササクレヤモリ(Paroedura pictus)、チョウザメ(Bester)、トラザメ(Scyliorhinus torazame)の三叉神経と顔面原基の発生過程の観察に加え、免疫組織化学染色により有尾類であるメキシコサラマンダー(Ambystoma mexicanum)の三叉神経の発生を記載し、さらにすでに知られる各系統の動物の解剖学的詑載と併せて、進化的に考察した。 解剖学において哺乳類の機能的「上あご」に分布することから命名された「上顎神経」は、これまで個体発生において上顎突起、つまり顎骨弓より生じる原基とその派生物に付随する形態物と認職されてきた。ところが、本研究の結果から、「上顎神経」は上顎突起・顎前領域それぞれに付随する要素の複合と判明した。顎前領域に付随する枝は、人体解剖学では「上顎神経」の枝のひとつに数えられてきた鼻口蓋神経に相当する。瓠のある脊椎動物(顎口類)の上あごにおける三叉神経の形態は、これら二つの要素を基本嘩位として様々に変遷してきたらしい。 顎の成立以前に分岐したヤツメウナギなどの円口類でも、あたかも上顎神縄のように口の前側に分布する枝が見られる。しかしその分布領域は、先行研究から顎前領城の派生物として考察されている。つまり、「上顎神経」の二つの要素のうち、顎前領城に分布するものは現生鞭椎動物の共通祖先において存在し、顎の成立に際して上顎突起の要素が派生的に付け加わったと解釈できる。 以上の研究結果は、7月にバルセロナで開催されたICVM(国際脊椎動物形態学会)で発表され、専門誌Journal of Morphologyにおいて報告された。
|
Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
|
Research Products
(4 results)