2011 Fiscal Year Annual Research Report
微視的測定手段を用いた二次元磁気ゆらぎが誘起する量子相転移の研究
Project/Area Number |
11J00792
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北川 俊作 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | NMR / 量子臨界現象 / 重い電子系 / 鉄系超伝導 |
Research Abstract |
(1)CeFePOにおける磁場誘起強磁性(メタ磁性)の発見と重い電子系メタ磁性の起源の解明 CeFePOの磁気的性質を調べるためNMRを行った。その結果からCeFePOはab面内が磁化容易面であり、ab面方向に4T程度の磁場(HM)をかけることで磁化が急激に増大するメタ磁性的ふるまいがみられること、Ce系の重い電子系メタ磁性体において磁気的性質や結晶場が大きく違うにも関わらず、さまざまな物質におけるHMと近藤温度TKが比例関係を持っていることを明らかにした。重い電子系において磁化容易面型のメタ磁性体はこれまでに報告されていない。また、これらの結果は重い電子系物質におけるメタ磁性が近藤効果と深く結びついていることを示唆しており、本成果は重い電子系のメタ磁性の起源の解明に大きな進展を与える重要な結果といえる。 (2)鉄系超伝導体LaFe(As1-xPx)OのT-x相図の作成 鉄系超伝導体LaFe(As1-xPx)Oの反強磁性と超伝導の関係を調べるためにx=0.1-0.5の5つの試料についてMR測定を行い、反強磁性転移温度TNと超伝導転移温度Tc、反強磁性ゆらぎのP置換量x依存性を調べた。我々の研究からTNがxの増加とともに連続的に減少し、反強磁性量子臨界点近傍(x=0.3)で超伝導が現れることを明らかにした。これは反強磁性が一次転移的に消失し、超伝導が現れるLaFeAs(O1-xFx)と対照的で同じLaFeAsOを母物質にする超伝導体においても超伝導発現機構が異なることを示唆する重要な結果である。 (3)Ce(Fe1-xRux)POにおける新奇強磁性量子臨界点の発見 Ce(Fe1-xRux)POのNMRを行い、x~0.13に強磁性量子臨界点が存在することを発見した。二次元強磁性量子臨界点を示す物質はこれまでに報告がなく、本成果は量子臨界現象の分野において非常に重要性が高い。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画として研究実績(1)、(2)を予定していたが、(1)、(2)だけでなく、来年度実施予定である(3)まで成果を上げることができたため、本研究は順調に研究が進んでいるといえる。また、Ce(Fe1-xRux)POにおいて発見した強磁性量子臨界点は未知の部分も多い強磁性量子臨界点近傍の物理の解明に貢献する学術的価値の高いものである。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24年度も引き続き、Ce(FeRu)PO、LaFe(AsP)OのNMR測定を行っていく。また、2次元性による強いスピンゆらぎの存在が期待できる他の物質に関しても測定を行う予定である。
|
Research Products
(17 results)