2011 Fiscal Year Annual Research Report
平面内細胞極性の機構解明と再構成系の樹立―マウス卵管を用いて―
Project/Area Number |
11J00824
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石 東博 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 平面内細胞極性 / マウス / 卵管 |
Research Abstract |
マウス卵管の上皮細胞において、平面内細胞極性(PCP)を司る因子がどのような動態を示すかを調べるため、ユビキタスに発現するRosa26プロモータ下で、PCP因子に蛍光タンパク質タグをつけた融合タンパク質を発現させるトランスジェニックマウスを作出した。このマウスでは卵管の上皮細胞のみならず、様々な器官で融合タンパク質の細胞膜上での非対称な局在がみられた。卵管上皮においては、内在の分子と同様の局在パターンを示すことが確かめられた。これらから、PCP因子の動態を観察するのに適したマウスの作出に成功したことがわかった。 次に、作出したトランスジェニックマウスの卵管を器官培養し、細胞膜上での非対称な局在がどのように形成されるのかについて調べた。光槌色後蛍光回復法(FRAP)を用いて融合タンパク質の細胞膜ドメインごとの拡散性の違いを測ったところ、器官の軸に応じて、各細胞の細胞膜ドメイン間で拡散性の違いがあることが分かった。これは非対称な局在を生み出す原因の一つであると考えられる。 また、卵管上皮から得られた細胞を使った初代培養において、培養条件の検討を行った。その結果、繊毛をもった上皮細胞のシートができる培養条件を見出した。細胞膜を可視化して観察したところ、初代培養細胞は卵管上皮のような多角形の形をとり、卵管上皮に近い細胞接着であることが示唆された。また、EdUを用いた取り込み実験によって、繊毛細胞の中には培養後に増殖した細胞も含まれることが分かった。 PCP因子のノックアウトマウスについても解析を行った。卵管の輸送能を管に沿って開いた卵管で調べたところ、ノックアウトマウスの卵管では蛍光ビーズやマウスの卵が正しく運ばれなくなることが分かった。これらのことから、PCP因子が卵管の軸性形成に寄与することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画で述べた実験は滞りなく予定通りに進められているから。
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Strategy for Future Research Activity |
実験系の立ち上げがほぼ完了できたので、今後は機構の解明と再構成系の樹立へ向けて、一つ一つの事象について細かく調べていきたい。概ね当初の計画通りに系研究を邁進していく。
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[Presentation] Linking global tissue asymmetry to cell polarity2012
Author(s)
T.Uemura(演者), K.Komatsu, D.Shi, H.Koyama, M.Arata, Y.Nishino, T.J.Kobayashi, H.R.Ueda, F.Tissir, A.Goffinet, T.Fujimori
Organizer
Riken CDB symposium "Quantitative Developmental Biology"
Place of Presentation
神戸理研CDB(招待講演)
Year and Date
20120326-20120328
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