2012 Fiscal Year Annual Research Report
平面内細胞極性の機構解明と再構成系の樹立-マウス卵管を用いて-
Project/Area Number |
11J00824
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石 東博 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 平面内細胞極性 / マウス / 卵管 |
Research Abstract |
昨年度の結果より、卵管上皮の初代培養細胞では繊毛形成は行われたものの、平面内細胞極性(PCP)を司る因子の細胞内の偏ったタンパク質局在は見られず、PCP形成が行われていないことがわかった。遺伝子発現解析を行ったところ、PCP因子の発現の低下が、初代培養細胞においてPCPが形成されない原因の一つである可能性が示唆された。また、PCPが形成される培養条件を探ったが、そのような条件はまだ見つかっていない。 あるPCP因子のノックアウトマウスでは、卵管上皮の3次元の形態形成が損なわれた。そこで、PCPと形態形成をつなぐ機構を明らかにするため、力学的観点から解析を加えた。力学的シミュレーションや細胞辺にかかる力測定するためのレーザアブレーション実験から、PCP因子が細胞形態を制御し、それに基づいた上皮シートの力学特性に沿って、3次元の形態形成が行われるモデルを検討中である。 次に、時期特異的、あるいは組織特異的にPCP因子を欠損させるために、DNA組換え酵素Creを発現するマウスのライン選定あるいは作出を行った。まず、卵管上皮での組み換え効率を調べるため、恒常的にCreERtmを発現するそれぞれのラインと、組み換えが起こると核が蛍光で標識されるマウスを掛け合わせ、卵管の発生が進む生後に4-ヒドロキシタモキシフェンを投与して組み換えを誘導したのち、成体になった後の卵管を観察した。1つのラインでは遺伝子欠損実験に用いるのに必要な組み換え効率の条件を満たしていたことから、今後の実験を進める上で有用なツールを確保できたといえる。また、BACを用いて、組織特異的にCreを発現するトランスジェニックマウスを複数ライン作出した。これらのラインに関しては、現在卵管上皮での組み換え効率を調べることで選定しており、今後の実験で活かされることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画で述べた実験は滞りなく予定通りに進められているため。
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Strategy for Future Research Activity |
再構成系の樹立へ向けて、まだ試していない条件があるので、優先順位をつけて、一つ一つ着実に調べていきたい。コンディショナルノックアウトマウスの観察では、組み換え効率が低いことが問題だったが、他のラインを用いることで対応できる見込みである。概ね当初の計画通りに研究を邁進していく。
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[Presentation] マウス卵管の上皮細胞シートの力学と形態形成2013
Author(s)
石東博, 小山宏史, 小松紘司, 平尾真由美, Fadel Tissir, Andre Goffinet, 上村匡, 藤森俊彦
Organizer
生命情報科学若手の会第4回研究会
Place of Presentation
岡崎 岡崎コンファレンスセンター
Year and Date
20130301-20130303
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[Presentation] マウス卵管上皮の平面内細胞極性2013
Author(s)
石東博, 小山宏史, 小松紘司, 平尾真由美, Fadel Tissir, Andre Goffinet, 上村匡, 藤森俊彦
Organizer
「生命システム」研究領域シンポジウム
Place of Presentation
東京 アキバホール
Year and Date
2013-02-25
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[Presentation] マウス卵管上皮の上皮細胞シートの力学と形態形成2013
Author(s)
石東博, 小山宏史, 小松紘司, 平尾真由美, Fadel Tissir, Andre Goffinet, 上村匡, 藤森俊彦
Organizer
名古屋工業大学-基礎生物学研究所 連携研究セミナー
Place of Presentation
名古屋 名古屋工業大学(招待講演)
Year and Date
2013-01-24
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[Presentation] マウス卵管の上皮細胞シートの力学とヒダの形成2012
Author(s)
小山宏史, 石東博, 小松紘司, 平尾真由美, Fadel Tissir, Andre Goffinet, 上村匡, 藤森俊彦
Organizer
第35回 日本分子生物学会年会
Place of Presentation
福岡 福岡国際会議場(招待講演)
Year and Date
20121211-20121214