2011 Fiscal Year Annual Research Report
シクロファン骨格の三次元構造を活かした共役系高分子の超階層構造制御と機能探索
Project/Area Number |
11J00830
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
辻 祐一 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | π共役系高分子 / 構造制御 / 有機無機ハイブリッド |
Research Abstract |
共役系高分子は優れたエネルギー、電子の輸送を実現する系であり、その構造を制御することは輸送系の高効率化、新たな機能発現につながる。本研究では以下二つの構造制御を試みた。 1)共役系高分子のハイブリッド化 有機無機ハイブリッドは有機成分を無機マトリクス中に分散して固定化するため、両者が分子レベルで複合化しており、両者の機能、さらに両者単独では示さない新たな機能の創出が期待される。しかしながら共役系高分子のハイブリッド化は互いの親和性の低さからこれまで困難であった。本研究では、共役系高分子の側鎖にアミド基を導入することにより無機成分への親和性を高め、様々な共役系高分子のハイブリッド化に成功した。得られたハイブリッドにおいて、共役系高分子は固体状態にもかかわらず溶液状態に匹敵する良好な発光を示した。これはハイブリッド中では固定化により、高分子鎖同士の凝集や熱失活が抑制されたためと考えられる。本手法は種々の共役系高分子を適用可能なこと、得られるハイブリッドが高い透明性と発光特性を有していることから、発光材料としての応用が期待できる。 2)縮合反応を用いた芳香環積層分子の合成 これまでに合成されている共役系高分子は、spならびにsp^2炭素の結合からなる結合型の高分子が大部分を占めており、二次元的に広がった平面的なものがほとんどである。本研究では共役系の構造制御に非平面的な要素の導入を行った。すなわち共役系オリゴマーとコの字型のリンカー分子を縮合反応させることで、共役系オリゴマー同士が平面同士で向きあった構造を有する環状二量体の合成を行った。得られた環状二量体において、向かい合ったオリゴマー同士の相互作用が確認されたことから、今後本手法を共役系高分子に適用することで、構造制御へと展開が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書に記載した研究計画の一部である共役系高分子のハイブリッド化を予定通り達成することができ、得られた成果を学術誌に掲載し、学会発表を行うことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
非平面的な要素の導入による共役系分子の構造制御を中心に行う予定である。具体的には申請書や研究実績に記載した、共役系分子の積層構造を構築する際に現在用いている[2.2]パラシクロファンのみならず、キサンテン誘導体が有効であるとわかったので、今後併せて用いていく。
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