2012 Fiscal Year Annual Research Report
シクロファン骨格の三次元構造を活かした共役系高分子の超階層構造制御と機能探索
Project/Area Number |
11J00830
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
辻 祐一 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | π共役系高分子 / 構造制御 |
Research Abstract |
共役系高分子は優れたエネルギー、電子の輸送を実現する系であり、その構造を制御することは輸送系の高効率化、新たな機能発現につながる。本研究では剛直な共有結合骨格を利用することで、以下二つの構造制御を試みた。 1)縮合反応を用いた芳香環積層分子の合成 これまでに合成されている共役系分子は、spならびにsp^2炭素の結合からなる結合型の分子が大部分を占めており、積層した芳香環からなるπスタック型分子の合成例は極めて希である。本研究では、一次構造が明確な共役系オリゴマーであるオリゴフェニレン誘導体を積層ユニットとして選択し、これをリンカー分子と縮合反応により連結することで、πスタック型の環状分子を選択的に合成し、その光学特性について検討を行った。得られた環状二量体において、向かい合ったオリゴマー同士の軌道の重なりが大きくなるにつれ、相互作用が強くなり、励起状態での相互作用に由来した分子内エキシマー発光が観測された。 2)高分子反応による積層構造の構築 コの字型構造の剛直なリンカー分子を芳香環と連結させることで、芳香環が積み重なった構造を有する、芳香環積層高分子が得られる。本研究では、芳香環積層高分子を構造制御の足場と捉え、高分子反応による、低分子色素団の積層配列を行った。積層構造を有する高分子前駆体を合成し、高分子反応を行うことで、様々な芳香環を積層構造に導入することに成功した。この手法を用いることで、これまで困難であった、π平面が広く、立体障害の大きな芳香環を積層させることに成功した。得られた積層構造は、外部条件に左右されず安定であり、溶液中においても単一分子内で積層した構造が維持されることが確認された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の一部変更があったものの、その成果は学術誌に掲載、学会発表を多数行うことに成功しているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
申請書に記載した、[2.2]パラシクロファンに代わってキサンテン誘導体が本研究を行う上での有効なビルディングブロックと判明したので、こちらを中心に研究を進めている。低分子での構造制御に関する知見が得られたので、積層部位として共役系オリゴマー、ポリマーを用いることで、より大きなπ平面を有する系の構造制御に展開していく予定である。
|