2013 Fiscal Year Annual Research Report
最遠方宇宙における超大質量ブラックホールの形成シナリオの確立
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11J00838
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
稲吉 恒平 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2011 – 2014-03-31
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Keywords | 超大質量ブラックホール |
Research Abstract |
太陽の1億倍以上の質量をもつ超大質量ブラックホールが、赤方偏移が7を越えるような宇宙初期にも存在する事が観測から明らかになってきた。特に、宇宙初期の超大質量ブラックホールは短時間で形成される必要があるため、その起源に理論的に強い制限が加わる。そのような背景の下で、宇宙初期に形成される超大質量星(太陽の10万倍以上の質量を持つ星)の形成過程の解明が重要となる。 平成23,24年度に超大質量星を形成する母体となる巨大ガス雲形成(星形成の初期段階)の研究と、そのガス雲の崩壊により形成される原始星の進化・成長(星形成の後期段階}に関する研究を行ってきた。 25年度はまず原始星の進化・成長に関する研究を進めた。これまでは、原始星の質量が1000Msunまでの構造や安定性を議論していたが、さらに超大質量原始星の質量が10^5Msunを越えるところまで進化計算を行い、前年度に開発した星の安定性解析を行った。そして、超大質量星が10^5Msunを越えるところまで安定に成長することができ、宇宙初期のSMBHの種に進化することが分かった。 続いて、実際にガス雲が重力崩壊して原始星を形成するまでの過程を調べる研究に取り組んだ. この研究はこれまで行ってきた星形成の前期・後期段階を結ぶ研究になり、超巨大ブラックホール形成の理論モデルのミッシングリンクとなる最重要課題である。本研究では3次元流体シミュレーションを行い、超大質量ガス雲の重力崩壊、そして最終的に形成される原始星の性質を調べた。重力崩壊していくガスの分裂過程はガスの熱進化に強く依存するため、私は超大質量ガス雲の進化に重要な影響を与える冷却過程と化学反応を全て考慮した。結果、ガス雲の中心部は高温を保ちながら激しい分裂は起こさずに重力崩壊することが分かった。最終的には中心に原始星を形成し、その原始星は激しい降着(>1.0Msun/yr)により成長することが分かった。この原始星はこのまま質量を増加させて超大質量星に進化すると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
交付申請書の研究目的に記載した研究を既に終えて、論文を出版することが出来たから。また、3年間で行う予定の研究を終了させ、更に新しい研究にも取り組み始めたから。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で明らかにした、超大質量ブラックホールの種としての超大質量星形成の枠組みに従って、星形成の降着期の研究を行う予定である。そしてその結果から、最終的にブラックホールになる質量を議論する。
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Research Products
(7 results)