2011 Fiscal Year Annual Research Report
連続デトネーション波エンジン実証を目指した定在斜めデトネーション波の現象解明
Project/Area Number |
11J00852
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
前田 慎市 筑波大学, 大学院・システム情報工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | デトネーション波 / 極超音速飛行体 / 高速度カメラ |
Research Abstract |
本研究では,内燃エンジンの革新的な高熱効率化・単純構造化を実現する可能性のある,デトネーション波応用内燃エンジンの基礎研究を行う.極超音速で伝播する燃焼波であるデトネーション波を,燃焼器内(壁面・物体周り)へ定在化させる機構の解明を行った.定在化手法として,可燃性混合気中に2段式軽ガス銃を用いて極超音速飛行体を射出し,飛行体周りに定在斜めデトネーション波を生成した.撮影速度1μs,連続撮影枚数100枚の高速度カメラとシュリーレン光学系を用い,極超音速飛行体周りの燃焼形態を世界で初めて高時間・高空間分解能で可視化観測した.特に,飛行体が可燃性混合気に突入した直後の起爆過程から,その十分下流の安定伝播状態までを包括的に観測・分析した結果は世界的に例がない.これにより,デトネーション波の起爆形態には,飛行体前面の強い衝撃波による直接起爆,およびBow shock背後でのデフラグレーション波からデトネーション波への遷移現象が存在することが明らかにされた.これら起爆形態の違いから,最終的な燃焼形態を体系的に分類することを可能にした.また,多数の連続画像を取得して波面形状を精度良く定量化可能とした.これにより,定在斜めデトネーション波の生成条件を決定する物理機構は,波面形状の3次元性に起因する曲率効果によって支配されることを明らかにした.本研究の成果は,定在斜めデトネーション波を用いた内燃エンジンの実現へ向けて,デトネーション波を物体周りに安定化させる際に考慮すべきパラメータや,発生し得る燃焼形態といった基礎的な知見を与えることができる.加えて,デトネーション波の曲率効果の実験的解明というデトネーション現象全般に共通の知見を与える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究成果により,可燃性混合気中に射出された極超音速飛行体周りに形成される燃焼形態についての体系的な知見を得ること,および定在斜めデトネーション波の生成条件を支配するパラメータの解明という目的を達成した.今年度の成果は,燃焼分野で権威ある査読付き国際ジャーナルCombustion and Flameへの公表,査読付き国際学会口頭発表34th International Synposium on Combustionへのアクセプトとして結実している.
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Strategy for Future Research Activity |
・観測用燃焼器の延長,またはレーザー等を用いた飛行体速度計測系を設置することで,可燃性混合気中に射出された極超音速飛行体の抗力計測を行う予定である.これにより,デトネーション波応用燃焼器の損失を見積もるための基礎的知見を与える. ・所属研究室において,既に連続デトネーション波エンジンの実験検討が進められており,これをもとに試験装置の設計・製作および実験・評価を行う予定である.
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Research Products
(4 results)