2011 Fiscal Year Annual Research Report
レーザー加速電子顕微鏡による超短パルスレーザーと物質の相互作用の超高速診断
Project/Area Number |
11J00853
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中新 信彦 大阪大学, 光科学センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | レーザープラズマ加速 / 超高速電子顕微鏡 |
Research Abstract |
レーザー航跡場加速はフェムト秒オーダーの時間幅で、大電荷、低エミッタンスのこれまでにない電子バンチが生成可能で、本研究課題ではこの電子バンチを用いて、レーザー航跡場の加速電場など超短パルスレーザーと物質の相互作用におけるプラズマ中の電磁場および物質の状態の高速時間分解・高空間分解診断を行い、その詳細な物理を解明することを目的としている。しかしながら、これまでのレーザー航跡場加速によって発生する電子バンチはポインティングが不安定で、広く発散することが一般的であった。上記の応用には電子源の安定化が不可欠であり、今年度は防振による高強度レーザーのポインティング安定化を行い、ガスジェットへの外部磁場印加による安定な電子バンチの生成を行った。その結果、7TW,30fsの高強度レーザーパルスをFナンバー3.5の軸外し放物面鏡で0-2Tの磁場がレーザー軸方向に印加されたガスジェットに集光し、1nC近い大電荷の安定した電子バンチの発生に成功した。この高強度レーザーパルスの集光点付近でのブレが1ミクロン以下というポインティングの安定化にも成功している発生した極短電子バンチはエネルギー幅が広く、輸送の際にそのエネルギー(速度)の違いによって観測対象に到達するときには時間幅が広がってしまう。さらに短バンチで高電荷のバンチは電子自身の電界によって、こちらも時間幅が広がり(空間電荷効果)、時間分解能を下げる可能性がある。そこで一度電子バンチの時間幅を,エネルギー分散を与えることで意図的広げ、空間電荷効果を抑えながら転送し最終的に電子バンチ圧縮器によって圧縮し、観測対象で最適な時間幅を達成するチャープ電子バンチ輸送システムを提案し、現在開発中である。さらに電子の輸送・集光・イメージングに必要な四極磁石の開発も行なっている。これらの内容を含んだ新型電子源および電子顕微鏡に関する特許を申請中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高速時間分解・高時間分解診断に必要な高品質レーザー加速電子源の開発を行なっており、レーザーシステム安定化、新しいガスジェットターゲット開発やガスジェットへの外部磁場印加によって電子バンチの安定的な発生に成功している。さらに電子発生後の電子バンチの輸送系・イメージング系も計画通り開発中であり概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度は安定な極短電子バンチの発生を目指した研究を行なってきた。安定な電子バンチの発生に成功しており、バンチの輸送系・イメージング系の開発も順調に進展している。今年度はこれらの開発に加え、電子バンチと同期可能な高強度レーザーパルスを用意し、このレーザーパルスによって高速な過渡現象(例えば、レーザー航跡場などのレーザーと物質の相互作用)を起こし、別のレーザーパルスによって発生した電子バンチを用いてこの現象の高時間分解計測を目指す。(ポンププローブ実験)。ざらに電子のイメージング系レンズを利用して、高倍率での観測を目指す。
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Research Products
(10 results)
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[Presentation] レーザー加速極短電子バンチを用いた高強度レーザー固体相互作用中の電磁場の高速時間変化観測2012
Author(s)
中新信彦, Chris McGuffey, William Schumaker, 籔内俊毅, Bhooshan S.Paradkar, Mingsheng Wei, 澤田寛, 岡林篤紀, 岩脇智行, 三島陽介, Franklin J.Dollar, Calvin Zulick, Galina Kalintchenko, Vladimir Chvykov, Victor Yanovsky, 細貝知直, 兒玉了祐, Richard B.Stephens, Farhat N.Beg, Alexander G.R.Thomas, Anatoly Maksimchuk, Karl Krushelnick, 羽原英明, 田中和夫
Organizer
日本物理学会第67回年次大会
Place of Presentation
関西学院大学(兵庫)
Year and Date
2012-03-27
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[Presentation] 電子入射と電子加速を独立に制御する2パルス駆動レーザー航跡場加速2012
Author(s)
細貝知直, 中新信彦, 益田伸一, 水田好雄, 梶野祥平, 牧戸啓悟, 幸原朋広, 山崎淳, 神門正城, 森道昭, 小瀧秀行, ジドコフアレクセイ, 兒玉了祐
Organizer
日本物理学会第67回年次大会
Place of Presentation
関西学院大学(兵庫)
Year and Date
2012-03-27
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[Presentation] 高強度レーザープレパルス制御によるプラズママイクロオプティクスの形成とレーザー航跡場加速への利用2012
Author(s)
水田好雄, 益田伸一, 西田明憲, 牧戸啓悟, 梶野祥平, 中新信彦, 神門正城, 森道昭, 小瀧秀行, 林由紀夫, ジドコフアレクセイ, ブラノフセルゲイ, 細貝知直, 兒玉了祐
Organizer
日本物理学会第67回年次大会
Place of Presentation
関西学院大学(兵庫)
Year and Date
2012-03-27
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[Presentation] 軸対称偏光レーザーパルスによるポンデロモーティブ電子加速2012
Author(s)
益田伸一, ジドコフアレクセイ, 細貝知直, 中新信彦, 水田好雄, 梶野祥平, 牧戸啓悟, 幸原朋広, 中原弘貴, 神門正城, 森道昭, 小瀧秀行, 山崎淳, 兒玉了祐
Organizer
日本物理学会第67回年次大会
Place of Presentation
関西学院大学(兵庫)
Year and Date
2012-03-27
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[Presentation] Development of high-quality electron beam source via laser wakefield accelerator towards ultrafast imaging(超高速イメージングに向けたレーザー航跡場を用いた高品質電子源開発)2011
Author(s)
Nobuhiko Nakanii, Tomonao Hosokai, Shin-ichi Masuda, Alexei Zhidkov, Zhan Jin, Yoshio Mizuta, Akinori Nishida, Shohei Kajino, Keigo Makito, Tomohiro Kouhara, Masaki Mando, Michiaki Mori, Hideyuki Kotaki, Sergei Bulanov, Atsushi Yamazaki, Tomokazu Sano, Arakawa Kazuto, Ryosuke Kodama
Organizer
Plasma Conference 2011 (PLASMA 2011)
Place of Presentation
石川県音楽堂(石川)
Year and Date
2011-11-24
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[Presentation] Formation of a transient plasma micro optics for laser wakefield acceleration2011
Author(s)
Yoshio, Mizuta, Akinori Nishida, Shin-ichi Masuda, Shohei Kajino, Nobuhiko Nakanii, Keigo Makito, Masaki Kando, Michiaki Mori, Hiroyuki Kotaki, Y.Hayashi, Alexei Zhidkov, Sergei Bulanov, Tomonao Hosokai, Ryosuke Kodama
Organizer
Plasma Conference 2011 (PLASMA 2011)
Place of Presentation
石川県音楽堂(石川)
Year and Date
2011-11-23
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[Presentation] High quality electron beam generation via laser wakefield acceleration for ultrafast imaging in material sciences2011
Author(s)
Nobuhiko Nakanii, Tomonao Hosokai, Shin-ichi Masuda, Alexei Zhidkov, Zhan Jin, Yoshio Mizuta, Akinori Nishida, Shohei Kajino, Keigo Makito, Tomohiro Kouhara, Masaki Kando, Michiaki Mori, Hideyuki Kotaki, Sergei Bulanov, Atsushi Yamazaki, Kazuto Arakawa, Tomokazu Sano, Ryosuke Kodama
Organizer
3rd International Symposium of Laser-Driven Relativistic Plasmas Applied to Science, Industry, and Medicine
Place of Presentation
日本原子力研究開発機構関西光科学研究所(京都)
Year and Date
2011-06-02
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