2012 Fiscal Year Annual Research Report
無限論理に関するモデル理論の研究とそのヴォート予想への応用
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11J00930
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
竹内 耕太 筑波大学, 数理物質系, 特別研究員(PD)
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Keywords | Ramsey class / n-dependent property / Sauer-Shelah Lemma / n-partite hypergraph / generalized indiscernible |
Research Abstract |
今年度は、一様列の一般化、モデル理論と組み合わせ論の関わり、n-dependent theoryへの応用という三つの軸で研究を行った。これらは安定性理論の一般化とそれらの整理と位置づけることができる。一様列はベクトル空間での基底や代数閉体の超越基底などといったものをモデル論的に捉えなおしたものと考えることができる。安定性理論だけに限らず、安定出ない理論においても重要な役割を果たすことが知られてきた。本研究では前年度に引き続き一様列の異なるバージョンとしての一様木の存在についてまとめたのち、それらを含む概念として一般化された一様列と呼ばれるものが考えられることを示した。これによって、順序や木、グラフなどといった構造をひとつ考えるごと対応する一般化された一様列を定義できるようになる。また、Lynn Scowの先行研究によってdependent propertyとよばれる安定性の一般化に当たる性質が、全順序ランダムグラフ一様列の存在と同値であることが示されていたが、同様の特徴づけがn-dependent propertyについても可能なことを示した。その中で、一般化された一様列の存在を保証するために有限全順序ハイパーランダムグラフのクラスがRamsey classとよばれる組み合わせ論的に重要なクラスになっていることを確認した。さらにRamsey classを用いて、n-dependent propertyについて体系的に調べるとともに、有限のdomainに対してタイプの数が「非常に早く」(ある種の指数関数的に)増えるということによっても特徴付けられる、というShelahの予想を、組み合わせ論において知られていたSauer-Shelahの補題をハイパーグラフに拡張することによって解決した。これらのテクニックは、n-dependence theoryの研究のブレークスルーをもたらすと考えられる。今後、成果を順次まとめて発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度はindiscernible sequenceのさまざまな一般化の可能性を見出し、特にn-dependence theoryへの顕著な応用が可能であること、Ramsey Classとよばれる組み合わせ論的対象と密接なかかわりがあることが判明した。これらは必ずしも無限論理とヴォート予想に直接結びつくかどうかは分からないが、当初の計画にある安定性の一般化についての研究の進展として大きな結果である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き研究課題を推進するとともに、今年度の研究で判明したモデル理論と組み合わせ論との境界領域の研究を推し進める。特に、Ramsey classがなぜモデル理論においてたびたび出現するのか、それらと無限論理との間にはどのような関係があるのかを詳しく調べたい。
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