2011 Fiscal Year Annual Research Report
高等真核生物におけるmRNA前駆体の核内保持機構の解明
Project/Area Number |
11J00984
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹岩 俊彦 京都大学, ウイルス研究所, 特別研究員(DC2)
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Keywords | mRNA前駆体 / 核内保持 |
Research Abstract |
mRNA前駆体の核内保持についてHeLa細胞で研究を進め,U1 snRNP,U2AFやUAP56が核内保持に関与することを見出し,それらの結果を論文にまとめた(Takemura et al., 2011).これにより,高等真核生物におけるmRNA前駆体の核内保持に初期スプライソソーム(Ecomplex)が重要な役割を果たすことを世界で初めて示した.さらに,mRNA前駆体の核内保持と核内の構造体,細胞骨格系との関連を調べたところ,意外にもモーター分子であるmyosin VIが核内構造体であるCajal bodyの形成もしくは維持に影響を与えることが明らかとなった.具体的にはmyosin VIのノックダウンがCajalbodyの数を減少させることが示唆された.さらにmyosin VIとCajal bodyの関連について解析するために,myosin VIがCajal bodyに局在する因子と相互作用するかどうかを調べた.その結果,myosin VIはCajal bodyに局在する因子であるSMN複合体と,核と細胞質の両方で相互作用することが示唆された.SMN複合体はスプライシングに必須のRNPであるU snRNPの成熟に必要な因子であるため,myosin VIはSMN複合体とともにU snRNPの成熟過程に関与するのではないかと予想された.また,myosin VIがモーター分子であることからSMN複合体を介してU snRNPと相互作用してU snRNPを輸送する可能性が考えられた.現在,U snRNPの成熟過程または輸送にmyosin VIが関与するかどうかを引き続き調べている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
mRNA前駆体の核内保持に関与する因子をHeLa細胞を用いた実験から同定した.その結果を踏まえて,核内保持の分子機構を解析し,結果を論文としてまとめた(Takemura et al., 2011).さらに研究を進める中で,モーター分子であるmyosin VIとSMN複合体が相互作用することを新たに見出した.この結果より,U snRNPの成熟または輸送にmyosin VIが関与することが予想されたため,現在この仮説を検証している.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究から,myosin VIがSMN複合体との相互作用を介してU snRNPの成熟または輸送に関与することが予想された.これらの仮説を検証するためにドミナントネガティヴに作用する変異体の作製を試みている.これまでにATPaseの活性を失った変異体と,cargo結合ドメインのみを持つ欠損変異体を作製した.これらはmyosin VIによる小胞の輸送を阻害することが既に報告されている変異体である.現在これらの変異体の発現がU snRNPの成熟化または輸送に影響を与えるかどうかを調べている,またmyosin VIがSMN複合体のどの因子と相互作用があるのかを調べることを予定している.myosin VIとSMN複合体の構成因子をクローニングして大腸菌を用いてタンパク質を作製し,myosin VIタンパク質でpull-downを行った場合にどの因子が共沈降するか調べる.
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Research Products
(1 results)