2011 Fiscal Year Annual Research Report
連鎖解析による食事性高コレステロール血症の性差原因遺伝子の同定
Project/Area Number |
11J01071
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田中 愛健 九州大学, 大学院・農学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ExHC / 食事コレステロール / 連鎖解析 / エストロゲン |
Research Abstract |
本研究の目的は食事性高コレステロール血症モデルラットであるExHCラットを用いて、食事コレステロールに応答し、血清コレステロール濃度を制御している雌特異的な遺伝子を同定することにある。そのために、雌ラットのみを用いたポジショナルクローニング法によってQTL領域を限局化し、原因遺伝子の探索を行った。ExHCラットの雌特異的原因遺伝子座であるDihc1領域に交配によりBNラットのゲノムを導入したISCLラットを用いて検討を行った結果、Dihc1領域を33.3Mbpから25.7Mbpの領域に限局し、領域中の候補遺伝子を370から245へ限定した。 ポジショナルクローニングを行うにあたり、要する時間が長くなることへの対応策として候補遺伝子の選抜を行うため、また、原因遺伝子同定後の作用経路を解明する手段として、Dihc1領域が雌特異的であることから、本年度はExHCラットおよび対照系統のBNラットを用いてβ-エストラジオールの投与試験を行った。エストロゲンの投与により、ExHCラット特異的に血清総コレステロール濃度が有意に上昇した。この原因を明らかとするため、肝臓脂質・小腸粘膜脂質・糞中ステロイドの測定を行ったが、ExHCラット特異的なエストロゲンの効果はなかった。したがって、ExHCラット特異的に食事コレステロールへの応答性はエストロゲンによって制御されている可能性がある。今後は、エストロゲン投与時の遺伝子発現の測定などを行い、有力な候補遺伝子の選抜を行う計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ラットの妊娠や産児数はコントロールできないため、交配による限局のスピードはラット側に依存する部分が大きい。そのため、ExHCラット雌特異的原因遺伝子座Dihc1領域の限局が進まない可能性があったが、今回限局に至ったため、おおむね順調と評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでと同様、交配を利用したDihc1領域の限局化を継続し、候補遺伝子の限定を行う。 今回行ったエストロゲン投与試験によりExHCラットのコレステロール応答の制御にはエストロゲンが関与していることが示唆されたため、原因遺伝子の発現もエストロゲンによる制御を受けている可能性が高い。エストロゲン投与時のmRNA発現量をExHCおよびBNラット間で比較する。これを候補遺伝子選抜の一方法とすることで、自然交配のみによる限局の遅延に対する対応策の一つとする。
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