2011 Fiscal Year Annual Research Report
理想界面を用いた高温イオニクスデバイスヘテロ界面構造の解明と高活性電極の創製
Project/Area Number |
11J01074
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊奈 稔哲 京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 高温電気化学デバイス / 電極反応機構解明 / 混合導電性材料 |
Research Abstract |
1年目の研究における課題は、1)基盤的情報としてのLn_<2-x>Sr_xNiO_<4-δ>(Ln:La,Nd等)バルクの電子構造、欠陥構造を明らかにすること、2)高温電気化学デバイスにおけるin situ XAFS測定手法を確立すること、3)Ln_<2-x>Sr_xNiO_<4-δ>バルクの電子構造、欠陥構造とin situ XAFS測定の結果を検討、解析することにより、SOFCの空気極における反応機構を明らかにすること、である。 1)X線吸収端近傍構造(XANES)を用いてLn_<2-x>Sr_xNiO_<4-δ>(Ln=La,Nd)の電子構造を調べた。Aサイト原子にSrをドープしていくと、ドープ量に従い欠陥が格子間酸素、定比、酸素空孔となることが分かった。また、電気化学特性の評価から、酸素欠陥が電極性能の向上に寄与していることが分かった。Ln_<2-x>NiO_<4+δ>(Ln=La,Nd)の表面反応係数と科学拡散係数を求めた。いずれの値もLa系の方が大きく、酸化物イオン移動と表面交換反応が速いことが分かった。さらに、局所構造、電極特性との比較から、電極特性の向上には酸化物イオン伝導の向上が寄与しており、Aサイト原子の制御により欠陥構造の制御が可能であり、格子間酸素を介した電極の高活性化が可能であることが分かった。 2)高温で雰囲気・印加電圧を制御しながらX線吸収分光測定を行うことができる高温電気化学in situ XAFS測定装置を作製した。代表的なカソード材料であるLa_<0.6>Sr_<0.4>CoO_<3-δ>(LSC)を用いたSOFC作動環境下でのin situ観察を行った。 Gd添加CeO_2(GDC)上に作製したLSC緻密薄膜電極をモデル電極とし、SOFC作動条件下でのLSC内の酸素ポテンシャル分布を評価すると共に、LSC/GDCにおける酸素還元反応について考察した。 3)LSC系で確立したその場測定手法を用いて、格子間酸素系材料の律速過程の把握を行った。その結果、LSC/GDCの系と同様に電極過電圧による酸素ポテンシャル変化が空気/電極の界面で急激に変化していることがわかり、格子間酸素系電極における電極反応の律速過程が表面反応であることを示している。 以上より、本年度の課題は全て達成され、これらの成果は、高温電気デバイスの高性能カソード設計指針を与えるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の通り、1年目の研究における課題は全て達成された。また、次年度の研究に対して必要となる深さ分解in situ XAFS測定についても測定系の構築は進んでいる。以上より、本研究課題はおおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目の研究は高温in situ electrochemical XAFS法をさらに発展させ、深さ分解in situ XAFS測定を用いることでカソード/電解質ヘテロ接触界面におけるナノイオニクス現象の理解を目指す。そのための試料としてPLD法により電解質基板上に緻密薄膜を作製する。また、in situ測定を行えるように測定用セルの改良とセル内で用いる小型電気炉の作製が必要である。得られた結果より、さらに精密なヘテロ界面制御により、高性能電極作製の指針の確立を目指す。
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[Journal Article] Depth-resolved X-ray absorption spectroscopic study on nanoscale observation of the electrode-solid electrolyte interface for all solid state lithium ion batteries2011
Author(s)
奥村豊旗, 中堤貴之, 伊奈稔哲, 折笠有基, 荒井創, 福塚友和, 入山恭寿, 宇留賀朋哉, 谷田肇, 内本喜晴, 小久見善八
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Journal Title
Journal of Materials Chemistry
Volume: 21
Pages: 10051-10060
DOI
Peer Reviewed
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